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□春雷
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「ルーシィちゃん!?」

驚くも彼女から寝息が聞こえてきて安心する。周りの人たちもドタバタと倒れるようにして眠っていき私にも睡魔が襲ってきてミストガンの魔法かと理解した。
ルーシィを地面に寝かせてレイナもしゃがみこむ。眠るか眠らないかうつらうつらとしているうちに、ミストガンの足音が近づいてきてまた遠ざかって行った。依頼書をマスターに渡して出ていったのだろう。
魔法がとけてみんなが起き出す。混乱するルーシィにロキが説明をしていると

「いんや…オレは知ってっぞ」

広いギルドのなかでも不思議とよく通るレイナが今1番聞きたくて1番聞きたくなかった声が降ってきた。どうしたらいいか分からなくてそっと俯く。

「ラクサス!」
「いたのか!!」

「レイナ、お前も知ってるだろう?」

ラクサスの口から自分の名前がでてきて思わず肩が跳ねる。何と返せばいいか分からなくて俯いたままでいると彼は鼻で笑ってレイナから興味を外した。

「ミストガンはシャイなんだ。あんまり詮索してやるな」

そこからはもう彼の独擅場だった。彼に食ってかかったナツにエルザやレイナに勝てないようでは勝てるわけがないと見下し、俺が最強だと声高に宣言する。昔の彼は少しの面影も残っていなかった。

「おい、レイナ。上がってこい。」

それだけ言って2階の奥に消えていったラクサスにルーシィが心配そうに見つめてくるが気づかないふりをして俯いたまま2階へ上がった。
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