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□春雷
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ミラのご飯は久しぶりに食べてもやっぱり美味しかった。ルーシィとお話してから、長い間留守にしていた自分の家に帰る。半年も空けていたものだから、ホコリっぽくなっていて掃除しないと、と思うけど家に帰ってきた安心感からか身体が重くなってどうしても何もする気が起きない。今日はもう寝てしまおうとベッドに向かうが、1人では寝るには明らかに大きいサイズのそれを見て身体だけでなく心も重くなる。
「シーツを変えるのが面倒なだけよ…」
ベッドで寝ない言い訳を独りごちる。寝室を出てリビングにあるソファを軽く手ではたいて横になる。虚しさが消えぬままレイナは眠りについた。
2日後の昼過ぎにギルドでミラに昨日エルザが評議員に逮捕されて大変だったという説明をうけた。昨日は掃除で1日家から出なかったものだから何も知らなかったのだ。そんな一大事にギルドに居なかったことを申し訳なく思うが、何はともあれエルザが無事に帰ってきて良かったと思う。評議員の理不尽さには腹が立つが。
「行くぞーーーーっ!!」
ナツの大声が耳に入って何事だと振り向けばそこには地面に伸びてしまったナツと立ちあがったエルザがいた。どうやらナツがエルザに勝負を挑んだが一発KOされたようだ。久しぶりに見た、けれど今まで何度も見てきた光景に笑っていると、ナツがムクリと起きあがる。タフさも相変わらずだなぁと思っていると、こちらを見たナツが拳に炎を宿して飛び込んできた。
「レイナーーーー!勝負だーーーーっ!」
「えぇっ!ナツくん!?」
思わずレイナも魔法で反撃してしまいナツが再び床に伸びてしまった。ギルドのみんなは大笑いをしているなか、私は申し訳なさでいっぱいになっていた。どうしようと焦っているとミラが大丈夫よ、またすぐに起きるわ。と言ってくれる。それでも心配しているレイナに今度はルーシィが駆け寄ってきた。
「レイナさん、すごい!ナツを一発で倒しちゃうなんて!今の魔法なんていうんですか!?」
「そんな、たまたまよ。今のは御伽魔法っていってね、色々な物語の力を貸してもらうの」
「すごい!!私、本大好きなんです!憧れるなぁ」
照れるからもうやめて、と言ってもルーシィの興奮はおさまらない。どうしたものかと悩んでいるとルーシィが急にガクッと倒れ込んできた。