book

□Incredible!
1ページ/3ページ

「なにこれ」

私のつぶやきに怪訝な顔をした佐藤に何でもないと首を振って誤魔化す。佐藤や観覧車の中で爆弾の解除に取りかかってる彼を引きずり出してこのメールの真意を問いただしたい気持ちに駆られるが今は勤務中だ。しかも爆弾がもう一つ仕掛けられていることがわかっている。ふぅっと息を吐いて頭の中を切り替えるように専念した。




私には付き合っている人がいる。相手は爆弾処理班のエースであった松田陣平で彼との付き合いは警察学校時代から続くのだからとても長い。といっても最近はいつ別れを切り出されても仕方の無いような関係が続いてたのだけど。

今から4年前彼の親友である萩原研二が被爆した。死は免れたが重症を負い後遺症が残った。警察官ではあるものの彼は今爆弾処理班ではない。
陣平は犯人を捕まえようと躍起になっていた。犯人から毎年送られてくるカウントダウンが0に近づくにつれピリピリし、彼は笑顔を見せなくなった。それでも彼を支えていこう、無茶だけはしないように私が傍にいようと思っていたのだ。

一週間前、彼は私の所属する捜査一課に配属されてきた。彼の教育担当には私の後輩の佐藤がついた。彼と交際してることを周りは知らないし言うつもりもなかったが、近くに居れることに少なからず私は浮かれていた。
その気持ちはすぐに変化する。彼が佐藤に笑顔を向けているところを見たのだ。私は、犯人に対しての怒りや、カウントダウンへの焦りから笑顔が消えたと思い込んでいたがきっと違ったのだ。私と一緒にいることが苦痛だったのだろう。

そして今日11月7日、犯人からの爆破予告状が届いた。彼は暗号を即座に読み解いて佐藤や目暮警部たちをつれて行ってしまった。
次へ
前の章へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ