進撃 ティアドロップ

□好きです。
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「本当にすみませんでした...」


2人しか居なくなった部屋に、俺の声だけが響く。


ここは幹部棟、兵長の執務室。


さっきは次の壁外調査に向けての話をしていた筈だ。


「なぁ、エレンよ。

謝罪はもっと誠意を持ってしなきゃだよな?」


兵長が近づき、俺の顔を覗き込む。


「す、すみません!」


無表情なのはいつものことだけど、怒っている時まで無表情なんて...!


「俺に対して舌打ちに、暴言。

1発蹴られるぐれェの覚悟は出来てるよな?」


や、やっぱり兵長怖い...!


「俺はそこまで鬼じゃねェから、せめて蹴られる場所ぐれェは聞いてやる。

どこが良い。

腹か?ケツか?それとも...首、いっとくか?」


「死にます!」


コンコンコン。


ノックが響く。


「チッ.....なんだ」


た、助かった...と心の中で安堵の息を漏らす。


「私。

今時間良い?」


扉の向こうからは落ち着いた女の人の声。


誰だろう...聞いたことない声だ。


でもリヴァイ兵長にタメ口で聞くってことは、この人も凄い人なのだろうか。


「出直せ」


えぇ...!


そりゃないですよ、兵長!


目で必死に訴えかける。


「...悪いけど急ぎの書類なの。

やっぱり都合悪い?

それとも、お楽しみ中?」


クスリと扉の向こうの女の人が笑った気がした。


「チッ.....入れ」


兵長は俺の前から退くと、自ら扉を開けた。
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