Boys

□crazy…
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森の広場。
小石で整備された道をはずれ、芝生の上を静かに歩く。
見えてきた灰色の長髪と白衣。場所と彼の行動パターンを鑑みれば何をしているのかは明白。
ジワリと滲み出る感情を、見ない振りして近づいた。

「よ〜しよし、ウメさんはあったかいなぁ」

「…良いご身分ですね、金澤さん。担当授業がないからといって野良猫とお戯れですか」

「うおっ!吉羅ぁ、驚かすなよ」

背後から声を掛けると体を大袈裟に揺らした金澤が慌てて後ろを振り向く。
人の気配に気付かないほどに集中していたのかと思うと気に食わない。

ウメが乱入者の不穏な空気を感じ取り金澤の腕の中から逃げ出す。

「あっウメさん!」

金澤はウメが消えていった茂みに指を伸ばし、「猫缶あげてなかったのになぁ」とため息吐いて残念がった。
無視を決め込んだ吉羅が話を切り出す。

「妙な胸騒ぎがして来てみれば、こんな所で油を売っているとは…。さぞかし期末テストの準備は順調なんでしょうね『金澤先生』」

「うっ…まぁまぁ、一教師の些細な息抜きの時間なんだし、お目こぼし願いますよ『理事長』殿」

吉羅の皮肉に金澤は一瞬ギクリとした表情を浮かべるも、すぐに愛想笑いをしながら片手を顔の前にあげ謝罪
のポーズだけしてみせる。

「頼みますから程々にしてください」

ふっ、と息をついた吉羅は座り込む金澤の横に膝を付いた。どうした?と言うように眉を上げる彼の頬に触れる。

「冷たい…」

あの猫が金澤を独占していた時間を窺わせ、目を眇めた。


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