短編

□朝早い君2
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日も落ち始め放課後の部活も終盤に差しかかる頃、ブナンは一人悶々と考え込んでいた。

最後の授業はイマドキさんもちゃんと受けてくれて、でも安心したのも束の間、放課後になるとすぐに例のてがみを持ってそそくさと教室を出て行ってしまった。
その様子を見て、これは早く部活に戻ってきそうですね。と思っていたのだが、いまだにイマドキさんは現われる様子がなかった。

まさか部活が嫌になってしまったのか、今日は確かに私もイマドキさんに対して冷たくしてしまったところがあるから、嫌だったのかもしれない。

いや、それならまだいい。
でも実はあの手紙は本当に果たし状で、なにか良くないことに巻き込まれてしまっていたら?やっぱり行かせない方が良かったのだろうか…

そんなことを考えているうちに部活もついに終わってしまった。

「イマドキけっきょく部活来なかったねー」

「ね〜、告白のこと聞きだしたかったのにな〜」

「えっ、なにイマドキ告白されたの?」

「そうだよマルキュー、イマドキの下駄箱に手紙が入ってたんだよー!」

どうやら手紙を発見した現場に3人が居合わせていたらしく他のメンバーにその時の様子を説明している。
そして静かにその話を聞いていたかぁちゃんがふーんと納得したように話し出す。


「まだ帰ってきてないってことはあれだね…OKして今頃デートでもしているんだろうね」

ええええ!なんて騒ぐアカデミー達の声をぼんやりと聞きながら、ああそういう可能性もありましたか。なんて思う。

急に胸がざわざわし始めて、なんだか、苦しい。

「っ!」

いてもたってもいられずに、カバンを雑に掴んで部室を飛び出す。

とりあえず…体育館裏を見にいこう
日はすっかりと落ちていて辺りは暗くなり始めていた。

「あーブナン行っちゃったか…」

「わたしが思うに、イマドキさんとブナンさんは好き合っていると見れるので、かあちゃんの見解は違うかと」

「ふふっ、わたしもそう思っているわ、ユウウツ。ただこうでもしないと前に踏み出せないでしょ、あの二人は。」

若いっていいわね、と楽しそうに目を細めるかあちゃんをみて、この人は本当に学生なのだろうかとだれもが思った。
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