短編

□グリーンカレー
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「玲香、そこは買う人の邪魔になるから…!」

「若月が…この前わたしに、勧めてくれたお酒だもん」

「……へ?」

「これ美味しかったから今度、一緒に飲もうねって、若が…だから今日こそは、って楽しみしてたの…」

そういわれてはっと思い出す、確かに前、玲香がうちに来た時にそんな話もした気がする。
最後に玲香が家にきたのも随分と前の話だから、すっかりそのことを忘れていた。

玲香の方もわがままを言いすぎたと思ったのか、端の方によけて反省しているようだった。
そのしゅんっとした姿をみていると、なんだか忘れてしまって悪かったな、と途端に申し訳ない気持ちになる。

「ごめんね玲香、覚えてなくて」

「ううん、別に特に約束ってわけでもなかったし…わたしもわがままばっかり言ってごめんね」

お互いにゆっくりと目を合わせると、なんだか急にこの状況がおかしく思えて、二人で笑ってしまう。

「ふふっ、変なの、いい大人が謝りあって」
「ほんとだよ、周りからみたらこの状況、絶対可笑しいよね」

ひとしきり笑い合ったところで、わたしはさっき玲香が戻したお酒を再び手に取った。
玲香が驚いた顔をしながらも、いいの?なんて嬉しそうに聞いてくる。

「いーの、忘れてたお詫び!……それと、わたしの言ったことちゃんと覚えててくれてありがとう」

ちゃんとお互いに思い合えてるから、あとはそれさえ伝えることができれば、きっと玲香と私が離れるなんてことはこれからもないのだろう



――とりあえず今日は

玲香に一番!って言わせてあげられるくらいの、おいしいグリーンカレーを作ってあげよう
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