IDOLiSH7
□雨と1つのかけら
1ページ/4ページ
仕事の休憩中に会社の外にあるカフェでのんびりランチをしていたら、急に黒い雲が空を覆ってきた。
「天気予報では晴れだったのに…。天気予報なんて、やっぱりあてにならないわね」
傘なんて持っていなかったので、仕方なく急いでランチを食べ、会社に戻ることにした。
会社のロビーに入った途端、バケツをひっくり返したような大雨が強風の影響でロビーのガラスに打ち付ける。
「あと一足遅かったら、今頃全身びしょ濡れだったわね…」
まさに間一髪だったのだろう。
1人ホッとしていると、ふと目に止まったのがこんな土砂降りの雨の中傘もささず、しかし慌てる様子もなく佇む儚げな青年がいた。
その青年は土砂降りの雨なのに空を見上げている。
––––あのままでは風邪を引いてしまう
そう思ったらいてもたってもいられず、奏は急いでロビーに備え付けてある傘を二本持って、大雨の中その青年の元へ急いだ。
.