くらうでぃだうん(1部)

□生まれとは
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「へぇ…まあどっちでもいいことだよね。」
「よくない!」
突然トムが叫んだ
びっくりしたな、どうしたんだ…
「よくないんだ…この、魔法界では、これは特に重要なことなんだ。僕は…僕は……」
泣きそうな声だった、11歳の男の子の声にしてはあまりに悲しい声でもあった
「と、トム…わからないよ、生まれがどうしてそんなに重要なのか、そんなことで価値観が決まるのはおかしいよ…スリザリンの影響なの?」
スリザリン、そう言った途端トムの目が赤く光った
「スリザリン、サラザール・スリザリンは素晴らしい人だ。僕にはわかる、彼の考えは魔法界には必要なものだ。」
「トム…なんだかおかしいよ。疲れてるんじゃない…?」
「…そうかな?いや、疲れてなんかないさ、僕は……とにかく、君も出生を知りたければ可能性はあると言うことだ。…それじゃあ、サク、明日から僕たちはそうは関わらないだろう、スリザリンとグリフィンドールの仲はあまりよくないらしいからな。」
「うん…でもトム、私の始まりはあの孤児院だよ…。私の出生について誰が何を言おうが、どんな事実があろうが、私はトムと出会えた孤児院にずっと感謝してる。…家はあそこしかないよ。」
対応がいいとは言えないけどねへへっと言って笑った
まあ愛情は少ないけど、こんな私を見捨てずよく食べさせてくれたと思う
「じゃ、じゃあ行くね…。」
手をふってから歩き出す
一度振り返ると、トムはまだその場に立っていて、こちらを見ていた
トムの目は、もう赤くなかった


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