戦国無双

□はじまり
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蝉の鳴き声が響く中、帰り道を1人トボトボと歩く。
今日の出来事を思い出し、心の中でため息をした。


「……」


……今日も、1人だった。
学校へ行くときも1人。
休み時間やお昼休みだって。

ずっと。


生まれてからも…


……ずっと、1人。


そんな自分を見て、周りは嘲笑う人ばかりで。


…まぁ、今更そんなに思い悩む事でもないのだが。



香織「……」



ふと立ち止まり、鞄からゲーム機を出す。

画面を見つめ、プレイしている時のゲームの世界を思い出しては、心が溶けたように安らいだ。

そう、華麗に舞っているあの人達を思い返して。


……私も、この世界に行けたのなら。

生きている意味なんか探さず済むのに。




ーーチリンチリン…


香織「……?」



鈴の音が聞こえた方を見ると、白い猫が居た。
……いや、犬だろうか?

耳は犬のようにピンとしており、口元には猫みたいな牙が見え、目がつり上がっている。


ーーチリンチリン、


しばらく見つめていると、いきなり駆け出した。


香織「あ、ちょっと、」



流されてついていくと、気付けば都会から森林の景色へと変わっていった。


ーーチリンチリン…


息が切れるほど追っていく。
すると、その子は神社の社の中へと消えた。


香織「あれ…。ここ……どこ、?」


我を取り戻し周りを見渡すと、森林に囲まれた神社に居た。
こんな所に神社なんてあっただろうか…。
ましてはこんな林の奥に。


香織「……綺麗」


そう思ってしまった。
知らない所に迷って、不安なはずなのに
何故かそう思ってしまう。

森林の隙間から光が差し、それが神社に照らされとても神秘的な光景になっている。

……古い神社なのだろうか。
所々色が掠れ、苔が生えている。
それさえも神社の綺麗さを引き立てていて。

少し近づき、鳥居に触れてみる。

ーその瞬間。

ザァァァァ…と、大きな風が森林を揺らした。


香織「……?……うわっ?!」


それも徐々に大きくなっていき、とうとう自分の体も風に圧倒され支えられなくなる。


香織「っあ…!!」


グラリと視界が揺れた。
地面へと落ちていく感覚に流されるのを感じる。


香織「…っ、……」


そこで意識が遠のいていった……。
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