book ー偽りなき涙
□紅髪のお尋ね者
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「あー、かったりぃナァ〜、」
それはまるで、口癖のように気付けば俺の口から発せられていた。
その原因はわかっている。ここ最近、とにかく時間をもて余しているのだ。
自分くらいにもなると、事はなんでも思い通りに出来るし、強い相手との戦いにワクワクするほどガキでもない。
かといって女では腐るほど遊んでるし、ギャンブルだってやりつくした。
楽しみもなく、同じような日常を繰り返すだけの生活はまさに苦痛。なにか面白いことはないのか……。
そんな時、ちょうど海軍から会議に関する手紙がきていた。
今までも丁度いい暇潰し程度にしか思ってなかったそれだが、この時ほどいいタイミングだったことはない。
暇すぎて気が滅入っていた俺はそのまま、珍しく乗り気で海軍の召集に応じたのだ。
今思えば、全ての始まりはここだったのかもしれない。