book ー偽りなき涙

□ヒロイン、能力解説の巻
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状況を掴め、冷静に、ヤバかったら逃げる、

自分に言い聞かせるが、どうしても理解できない、できるわけない。





何故、新世界にいるハズのこの男がここに………?






「カジノじゃ随分派手に暴れてくれたみたいじゃねぇか。フッフッフッ、」






パサリ…




一様正体を隠すためのマントのフードが落ちて、もはや顔が丸分かりだ。



ん?、てか、顔見せてなかったのになんでアタシが分かったんだ?







「手配書の通り、まだガキだがイイ女だなぁ。殺すのがもったいねぇ位だ。」

(殺すのは決定なんだ……ヤバくね?)






グイ、と顎を捕まれ顔を一気に近づけられる。










『(今だッ!)』

ガンっ‼

「くっ、」


ボォッ!




彼が顔を近付けた一瞬の隙をつき、思いっきり頭突をかます。

続けて脚を男の腹目掛けて蹴りつけるが、これは直ぐ様かわされてしまった。



アタシも、ドフラミンゴと自分との間に充分な距離を空ける。







てか、まずコイツが何の能力者かを見極めないとまたさっきの二の舞だ。


それにこの体格の違いをどうやってしのごう。

こういう時は基本、筋肉量の違いが少ない脚技中心で戦ったほうが良いのだが、果たして通用するのか………



もはや打つ手なし。どうやらアタシは、相当ヤバイ相手に喧嘩を吹っ掛けてしまったらしい。


アタシの能力は自然系(ロギア)に対してはすごく便利だが、超人系(パラミシア)は相性が悪い。



主な使い道は相手の能力の無効化。

簡単に言うと、相手に炎をぶつけ、炎に包まれている所が無効化される。

今さっきアタシは自分の体を炎で包んだ。


これで外部からの能力は通じない。(精神面や、内部的なものはムリ。)





それで動けるようになったということは、恐らく彼は外部からナニかでアタシを操ったのだろう。






「チッ、テメェも能力者か。なんだってんだこの炎はよぉ。」



『アナタのカジノを壊したのは悪かったよ………気が立ってたもんで。』



「カジノだぁ〜?オイオイ、勘違いすんなよ小娘?カジノなんざどうでもいいさ。オレが腹立ってんのはなぁ、」





ヒュンッ

『ッ!!?(速いっ、)』




「 っテメェごときがオレのシンボルを汚したことだよ小娘!」










ガッシャーーーーン


『ガハッ ゴホッ ゴホッ、(血……あぁ、骨いったなこりゃ) 』



あっという間に間合いを詰められ、理解する暇もなくアタシの体は壁に叩きつけられていた。



ムリだ格が違う。勝てっこない。


どうにかして逃げないと本当に殺される。





ヒュンッ

『ッ!!?あっぶねッ!』


「……(避けたか。まさか見聞色の使い手か?)」




『このヤロッ、人が謝ってんのに‼』


「フッフッフッ、足技中心とは、考え
たなぁ。だが、力(パワー)が足りねぇな!」


ズガッーーン!



『ヴぅ、ックソ……』


「お頭の足りねぇお嬢ちゃんに一つ教えといてやるよ。喧嘩売る相手はテメェで見極めるもんだぜ。」


『ぐっ、 ハァ、ハァ、』


「フッフッ、随分息が上がってんじゃねぇか。なぁ、テメェはなぜ海賊な
んかやってんだ…なんで七武海を蹴った?」


彼は倒れてるアタシの上に座って、そんな事を聞いてきた。


『なんで……ゲホッ、そんな事知りたいの?てかそもそも教えてやる義理もねぇけど。』



「………別に、上のジジイどもが困ってたからな…聞いただけだ。オメェの行動は読めねぇって言ってたぜ。フッフッフッ。」



『なら上のジジイどもに言っといてよ。 勝手に困ってろって。あとクソくらえって。』



アタシはニヤリと彼を見て不敵に笑う。




「ッ!?」



ボォッ!



アタシは、なんとか彼に炎をぶつけた。

それも、特別な炎を。



「テメェ、ナニしやがったっ‼」




力まかせに首を掴まれ、喉がきしむが恐怖はもうない。






『ゲホッ、ゲホッ、それはね、能力者の体にふれると一時的に普通の人間にもどす力を持ってるの。今のあんたに能力は使えない‼バーーカ。』




「フフッ、フフフフッ! 小娘が調子にのりやがって。面白ぇ、ただのルーキーとは違うな。」








ここまでやったらもう大丈夫。

だって助けてくれるでしょ?







キャプテン。




「ウチのクルーに手ぇ出すんじゃねぇよ。 Room、 」


アタシの目に写ったのは、怒り込もった瞳をした我らが船長だった。




「ッチ、 」



「シャンブルズッ!」






こうして何とか命の窮地からは逃れたのだった。


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