book ー偽りなき涙
□君って何者?
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アタシがハートの海賊団に入った日、夜遅いのにも関わらず舟の皆が入団祝いの宴を開いてくれた。
といってもまぁ、酒が飲みたかっただけだろうけど。
アタシは色んな人の所を一通り回り終えたので、教えてもらった名前やこの舟の事を頭の中で整理していた。
すると、
「よぉ、お前、飲んでるかぁーー‼」
「主役なんだから盛り上がれよ!」
帽子被った二人が話しかけてきた。
(そういや、コイツら忘れてた)
「皆とは一通り飲んだから今休もうとしたんだけど………キミたちがいたね、忘れてた。名前は?」
「おま、失礼だなっ」
「まぁ、まぁ。 そう言えば自己紹介はまだだったもんな。オレはペンギン。」
「へぇーー。ペンギン帽子はペンギンか。ならキミはキャスケット?」
「いや、あだ名でそう呼ばれたりもするが、俺の名前はシャチだ。ま、仲よくしようぜ。」
「うん、ヨロシク。」
ここは動物園なのか、なんて疑問は今さら口にしない。
きっと船長の趣味だ、うん。
自分の名前にトラって入ってるし……(まぁ、アタシも入ってるけど。)
あぁ、成る程これは運命なのか、きっとそうだ。
と、どうでもいいことを真剣に考えてしまうタチのアタシは、船長さんがいつの間にか近くにいたことにも気付かなかった。
「通り名に似合わず、随分フレンドリーなんだな。」
「まぁね。楽しいことは嫌いじゃないよ。海賊だもの。それよりアタシに何の用?」
「お前にいくつか聞いて置きたいことがある。出来れば、正直に答えて欲しい。」
「はいはい。何が聞きたいの?」
「……年齢、能力、それから今までどうやって生きてたか、……まぁ、ざっとでいい。」
「あとスリーサイズ」
「好きな男のタイプ」
「……答えられる所は答えるよ。年齢は17で、能力は…トリトリの実の、モデル炎鳥?かな。海に出たのは12の時で、そん時からまぁ裏社会を点々と………身長は168で、体重は45かな。好きな男は、強くて優しい人。スリーサイズは測ったことない。あ、でもカップはEだね。」
「「「(E………)」」」
能力については多少嘘が入るが、仕方ないだろう。
アタシの能力は少々厄介なので、知ればこの人達にも危険が及ぶのだから。
「17?………まだガキじゃねぇか。」
船長さんがいぶかしげに眉を潜める。
「あ、今ドレスだもんね。大人っぽく見えるでしょ?アハハッ!あ、服どうしよ……」
「……ウチのクルー達が着てるツナギでいいだろ。それより、何でそんな子どもの時から海へ出た?」
「そうそう。12って、よく生きてたな。」
「……本当は、そんな早く出るつもりなんてなかったよ。不幸に不幸がかさなって、海へ逃げたかんじ。………でもアタシは器用だから、生きることには困らなかったし、それなりに楽しくやってきたよ‼」
「………そうか。」
船長さんは短く呟いた。
「キャプテーン、これ頼まれてたローズのツナギ。」
「あぁ。 ほら、お前の着替えだ。」
「ありがとう。 アハッ、なんかお揃いって嬉しいな‼ 今までずっと一人だったから。」
「……それが、お前がこの舟の仲間だって印だ。」
「うん、ありがとう‼」
始めて一緒に冒険する仲間が増えて、なんだかとっても舞い上がってしまいそうだ。
仲間の印………
なんてすてきな響きだろう。
あたしは、渡されたツナギをぎゅっと抱き締めた。