book ー偽りなき涙
□海軍見習いの青年
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ガンガンガンッ!
「おーいローズ〜? いい加減起きてくれぇ ………ったく、船長一人でも寝起き悪いのに………なんでコイツまで…」
「ローズチャーン………こりゃ駄目だ。ハァー…もうすぐ次の島に着くってのに……………。なんでこうもぐっすりなのかねぇ、まぁローズはたまにだけどよ。」
ローズの部屋の前で格闘する面白帽子の二人はかれこれもう数十分はこうして戦っている。
なのに大きな音を立てても思いきり叫んでみても問題の彼女は起きてもくれない所か部屋から一切の音がしないのだから参ってしまう。
もういっそのことほおっておいて船長だけ起こすことにしようかと話だしていたとき、開かずの扉が開いた。
「フゥウァーー、何やってんのさ〜人の部屋の前で。」
ついに眠り姫が降臨しやっと一仕事終わったと一息つく間もなく、次の瞬間には彼らは息を飲むことになった。
「お、おまっ、///」
「なんつーカッコしてんだっ!ここは男ばっかの舟なんだからなっ、///」
出て来た彼女の格好はといえば、丈の短い薄手のニットに生足、胸元はダルダルというなんともサービス精神旺盛なもので、男二人は思わず目の前の女が普段ふざけあってる仲間だということも忘れ、反射で生唾を飲んでしまった。
「えぇー、なによもー。」
「「いいからっ!」」
彼女がもう一度部屋に戻ったのを確認すると、二人はどっと出ていた冷や汗をゴシゴシと乱暴にツナギの袖で拭う。
「(お、おい何だったんだ今のはっ!)」
「(か、過剰反応しすぎだろ俺達っ、相手はローズだぞ! いや、ただ色々溜まってたんだ、きっと、)」
「(そ、そうだよなっ!前の島から結構経ってるもんな!)」
次の島へ上陸する前、男二人のこんな格闘があったことなどローズはしるよしもなかった。
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「へぇー、次の島か。成る程それでアタシの事を起こしにきたわけか。……で、なんでそんなに疲れての…………?」
「ウッセ! 9割お前のせいだわ!」
「そうだそうだ!人の苦労も知らずに!」