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□Treat You Better
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お店を出てポケットから車の鍵を取り出す。





ナヨン「ね、ねぇちょっと、何で車?」





「今日はシラフだったの、ずっと前から連れて行きたいとこあって。今日に決めてた」





色々言いたいような顔をしているナヨンさんを助手席に乗せ車を走らせる。






夜は車通りは全くなく、静かな道路をただひたすらに走る。





ナヨン「ねぇ、どこに行くの?」





不安そうなナヨンさんの声と横から私を見つめる視線を感じる。






「今言っちゃうとつまんないでしょ?」






車を走らせてちょうど海を渡る橋に着く頃、開けていた窓から少し海の匂いと潮風が入ってくる。





ナヨン「気持ちいい...」





風の音にかき消されそうな声で小さく呟くナヨンさんをチラッと見ると、橋を照らすライトの光が黒い瞳に反射してキラキラとしている。




なびく髪を治すように耳にかける仕草に胸が締め付けられるほど苦しくなる。






ドクドクと脈打つ心臓。もう後に引き戻せないような感情。
すぅーっと思い切り息を吸いながらそれと比例するように無意識に踏んだアクセル。




ナヨン「ちょっと、速いって!」





「いいじゃん、車いないし」





隣でキャッキャと笑うナヨンさん。久しぶりに聞く笑い声。






「着いたよ」





車を止めて外に出ると、涼しい潮風が頬を打つ。



「こっち、ほらおいで」




堤防に登り腰をかけながらナヨンさんを呼ぶ。





ナヨン「海?真っ暗で何も見えないじゃん」





そう言いながら堤防から海を覗こうとするナヨンさん。






「そこじゃなくて、上だから」





プッと少し笑いながら上を指差す。




ナヨン「上?.....わぁ」




すぐにつられて上を見たナヨンさんが声を上げる。





ナヨン「こんな空、初めて見た....」





都会の真ん中じゃ見れない星空。
海との境目がわかるくらい遠くまで広がっている。





ナヨン「綺麗...」




今度は空の星が瞳に映りキラキラと輝く。





「こっち座りなよ、よく見える」





そう言ってナヨンさんの手を引きながら堤防に上げる。







ナヨン「すごくいい場所、綺麗」





そう言いながら空に釘付けになったままの横顔を隣で見つめる。





泣いて俯く横顔なんかより、こっちの方が良いよ。





ねぇ、あんな奴より私にしなよ。




あんな奴のために泣く時間も
私といればそんなことはないんだよ?




私の方があんな奴よりあなたを幸せにできるよ。




あなたを悲しませるようなことはしないし、あなたをずっと大事にするって約束する。






あんな奴よりずっと私の方があなたを大切にできるのに。




end.


Shawn Mendes/Treat You Better


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