short story

□ミラクルガール
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「お前何か部活入ってんのか?」

暇つぶし、とでも言うような感じで退屈そうに投げかけられる。それでも土方との会話はミントにとっては暇つぶし程度にできるものなんかではなくて。


心臓が早鐘を打つ。でもせっかく土方が話しかけてくれたのだから、恥ずかしがってつれない態度を取るなんて何があってもできない。


頑張れ!せめて人並みに話すんだ。



「帰宅部。2年の夏までは…野球部のマネージャーしてたんだけど…」

「ふゥん…何で辞めたんだ?」


「ちょっと…あの、うん。セクハラ…的な」


「セクハラ!!?…つーかさっきからソレ、何してんの…?」



あきれたような土方の視線を辿ると…




なんとミントは緊張のあまり無意識に、土方の学ランの袖のボタンを指先でクルクルといじっていたのだ。

ミントがチラリと土方の顔を見上げると、彼はニヤニヤ笑いを堪えているようだった。


「えっ!?…ひゃぁ!」

慌てて手を引っ込めると、取れてしまったボタンが廊下の方まで飛んで行ってしまった。


「ご、ごめんなさい!すぐ拾ってくるから!」



土方は廊下に飛び出して行くミントを見送ったが、なかなか帰って来ない。

必死にボタンを探すミントの姿が脳裏に浮かび、口元が緩む。



仕方ねぇ奴、とため息をついて席を立ち上がる土方の様子は、見る人が見ればかなり楽しんでいると称される物だったらしい。

→あとがき
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