short story

□会いたい日
1ページ/5ページ


「フンッ!フンッ!」


心の隅で主張している気持ちを誤魔化すように素振りをする俺。

きっと誰にでもある、普通の気持ち。

自分からは決して言い出さない。…ていうか言い出せない。
だけど知っていてほしい。覚えていてほしい。
君だけには…



きっと誰だってそうだ

当たり前の主張だ。


心の中でだけ、声を大にして言おう…


俺、今日誕生日なんですけどー!!!!



・・・


「オイ、山崎」

朝一でミントンをしていると、副長に声を掛けられた。

いつ逃げようかと考えていると



「おめでとう」


副長にあんぱんを手渡される。


今何て…?




「おうザキ!こんな所にいたのか」

「えっ…局長まで……何の用ですか?」


「何、お前の誕生日を祝おうと思ってな」

「………」


「おめでとう!お前コレ好きだったろう!?」

あんぱんを差し出す局長。



「ありがとうございます…」


自然と口元が緩む。
次へ  

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ