book

□メール
1ページ/1ページ


ある日の公演終わり


今日はいつもより失敗してしまって
落ち込んでいる

三田「はぁ……。」

誰もいない部屋で1人ため息をつく



窓の外に目をやると雨が降っていた

傘は持っているけど
疲れている時に差したくないな…
なんて考えながら携帯を開くと

「ご飯行かん?」

大好きな人からメールが届いていた。




うわぁ…届いたの2時間前やん……

もうご飯食べて帰っちゃったかな…


一応

「すいません…
反省会が長引いてしまって
今どこにいます?」


返信してみる


あの人の事だ
どうせ携帯見てないやろうと思って

帰り支度をしていると


「どこやと思う?」


意外と早く返信が返ってきた


三田「えぇ……」


「分かりませんよ」そう打とうとした時


「おい、ブス」


背後から声が聞こえた


三田「百花さん!?」

そこには雨に濡れた百花さんが立っていた


髪や服はびしょびしょなのに本人はケロッとしている


三田「なんでおるんですか」


木下「イベントでこっち来たからついでに暇そうなやつと飯いこうと思ってな」


いやそうじゃなくて…


三田「メールくれたの2時間も前じゃないですか…待っててくれたんですか…?」


木下「勝手に勘違いすんなあほ、そこら辺ぶらぶらしてたら時間経ってただけや」


ツンデレめ…


三田「勘違いします〜百花さん優しー!」

木下「何言うてんねんブス」

三田「も〜すぐブスっていう〜」

木下「ブスやろうがブス」


久しぶりやなこういう会話。


百花さんはどう思ってんのか分からんけど
私はこの会話が大好きだ

そんな事考えながら
百花さんの頭をそっと撫でると
鳥肌がたつほど冷たかった


2時間前も外で待っててくれたんやもんな…

雨に濡れて寒かったやろうな…



三田「百花さん、今日うち泊まります?」


木下「おん」


三田「片付けてませんよ?」


木下「野宿よりましやろ」


三田「ご飯行きますか。」


木下「せやな」



そう言って前を歩き出す百花さん


私より小さなその背中には
私より重いものを幾つも背負ってるのだろう


そう考えると
今日の失敗も大切なものだと思える



木下「おい三田っさっさとこんと奢らせるからなっ」


1メートルほど先で子供みたいに叫ぶ百花さん


三田「はいはい、今行きますって!」




百花さんのおかげで
今日も三田はアイドルを楽しめてます。



三田「百花さん…ありがとう。」


次の章へ
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ