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□爪痕
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にぎわう楽屋その端に一人座る私

別にいじめられてるってわけじゃない

ただ少しだけ考え事をしていた。

「どれくらいの間息を止めていられるだろう」

息をしてなければ呼吸の事を最優先に
考えるから無駄なことを考えなくて済む


まぁ私は一分が限界なんだけど

バカみたいなことを考えていると
ドアがガチャっと開いて人が入ってくる

その瞬間楽屋の雰囲気はガラッと変わり少し静かになる


「お疲れ様です」と彼女が言うとメンバーも「お疲れ様です。」と返す

当たり前の事

だけど彼女は特別

仕事ができて優しくてきれいで絡みやすくて
気が利くし、しょうもない話でも笑って聞いてくれる

そんないい人狙わないわけがなくて

「彩さんこの前話した漫画なんですけど」

「見てくださいこれ!新作のお菓子です」


なんて話題作りを頑張っている

いや私たちアイドルだからね?

一応恋愛禁止だからね?

もうちょっと隠せないのかな
なんてもやもやしているとポンと頭に手がのせられた


梓「夢莉ちゃん〜顔に出てるよ」といって隣に座る梓

梓「相変わらず独占欲が強いね〜」

絶対バカにしてる


梓「返事くらいしてよ〜
てかほんとにとられちゃうよ?」


その言葉にドキッとする


彩さん周りを見ると私なんかより可愛い女の子ばっかり

梓「素直になりなよ、ため込んだって毒だよ」



梓のその言葉で私の心の中の何かが壊れた


太田「ちょっと行ってくる
遅くなったらごめん」

それだけ言い残して彩さんのところに向かう

太田「...ちょっときてください」


空き部屋に彩さんを連れて行って
ソファに横たわらせる

太田「ねぇなにさっきの」

急にこんなことされて理解ができてないんだろう
ぽかんとした顔をしている

太田「私がいるのに他の子とイチャイチャして」

彼女の首元に手を置くと
ビクッと身体が跳ねる


かわいい


そのまま手に力をいれ
きゅっと首を絞めると暴れて抵抗する


かわいいよ彩さん


爪が食い込むたびに

「離して」
「やめて」
「なんでこんなことするの」


いろんな感情が伝わってくる

でもやめない

これは罰だから


太田「苦しい?」


抵抗する気も失せたのか
こくりと首を動かすだけになった彩さん


ぱっと手を離すと
ぐったりとしてこっちを向いてくれない。

横顔もきれいだななんて思いながら
無理やりこっちを向かせ
首についた爪痕をなめていく


山本「っん、、」


色っぽい声を出す彩さんの顔はほんのり赤い


太田「えっろ、、、」


思わず声に出してしまう


太田「今度から私の前以外で
こんな姿見せたら承知しませんからね」


そういうと彩さんはまたそっぽをむいて


山本「こんなことするの
夢莉くらいやわ、あほ」って。


その言葉さえ私を興奮させるだなんてこの人は知らんのやろうな


全部終わったら教えてあげよなんて考えながら彩さんのTシャツに手をかけた。


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