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□素直
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お風呂を出たあとにさや姉と少し話していた

それだけですごく幸せ


「でな、そのディレクターさんがな…」


さや姉の反応が急になくなった


「さや姉?聞いてる?」


『え、あ、ごめん。ぼーっとしてた。』



……もうええわ

迷惑なら黙ってるし。




ベッドに横になると
さや姉が抱き着いてきた


「何……?」


声には出てないけど心臓がドキドキして
顔が熱い


『…抱きつきたくなっただけ。』



低い声でそう言われる

ときめく所なんやろうな普通

「それみんなに言うてるんやろ。
都合いい時だけ私のこと家よんで」


思ってもない言葉が口からでる

『百花…?』

「迷惑やねん…
好きでもないのにベタベタされたら
ホンマに好きな人にだけやりよ。」



あぁ…やってしまった

なんで素直に
嬉しかったって言えやんのやろ



『……好きやったらええん?』


「え?」


『私はずっと百花の事好きやってんで?』


「嘘や…」


『嘘じゃない。』


真っ直ぐこっちを見てくれるのが
嬉しくて泣きそうになる



『百花が迷惑じゃないなら
ずっと隣におるから…それで証明できる?』


「迷惑なわけないやろあほ」


『泣くなよ…』

さや姉に頭を撫でられる

子供扱いすんなよ…

「泣いてへんわ」




『素直やないな』

「お互い様やろ。」



そうきっとうちもさや姉も素直じゃない

でもそんなの分かってる


今から少しずつ素直になればいいんだ


「これからもよろしくな…彩。」


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