長編 HUNTER×HUNTER
□ブタと 寿司と たまご
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あれから走って30分、ようやく受験者が集まっている場所にたどり着いた。
「間に合ったようだな。」
ここはヌメーレ湿原を抜けたところにあるビスカ森林公園、第二次試験会場だ。目の前には大きな倉庫の様な建物が一つあり、皆そこの前で待機している。
私たちはヒソカとレオリオさんを探す。するといきなり背中に殺気が向けられた。3人はばっと後ろを振り向き、ヒソカが左を指さしているのを見つける。指の先を見ると木にもたれかかるような形でレオリオさんが据わっていた。私たちはレオリオさんに駆け寄る。
「レオリオ!!」
ゴン君が叫ぶ。
「うむ、腕の傷以外は無事のようだな。」
クラピカさんは安堵したように言ったが
「クラピカさん、顔...」
レオリオさんの顔は口の中に野球ボールを入れたように膨れ上がっていたのだ。
クラピカさんも気づかないことがあるのか。
「しかし何でオレ、こんなこんな怪我してんだ?記憶がはっきりしないんだよな。」
あまりのショックで記憶を失ってしまったのだろうか。それともものすごく都合のいい頭なのだろうか。どっちにしろ私たちは言わない方がいいということで意見がまとまった。
「ところで何でみんな建物の外にいるのかな?」
「中に入れないんだよ。」
ゴン君の問いかけに答えたのはキルア君だった。キルア君はどんな魔法を使ったのかと私たちに聞いてきた。もう絶対無理だろうと思っていたらしい。私が心配してくれたのと聞くと、早く質問に答えろと顔をそむけて言ってきた。その行動がなんとも可憐しい。
ゴン君が説明するとキルア君は驚いていた。まあ驚かない人はいないだろう。
「次は俺の質問、何で入れないの?」
キルア君は私たちを建物のそばに連れてきて、今日の正午に始まるのだと説明してくれた。
「もうすぐだね。」
周囲の緊張感が高まっていくのを感じる。
そして時計のすべての針が今重なった。それと同時に扉が開く。中に見えたのはソファーに座っている女性とその後ろにいる大柄な男性、メンチさんとブハラさんだった。
「二次試験は料理よ!」
ということでブハラさんにブタの丸焼きを食べさせ満足させるという戦いが始まった。
ここに生息するブタは肉食で世界一狂暴である。このブタを捕えるのは至難の業...と思っていたのだが、今年の受験生は殊の外優秀だったようで70名が通過した。それにしてもブタ丸ごと70頭を食べるとは。受験生すべての心の叫びを代弁しよう、バケモノだ!!!!
次はメンチさんの課題をクリアしなければならないが、簡単にはいかないだろう。自分で辛党だと豪語し、何しろ次の課題は、
「スシよ!!」
皆の心の叫びを代弁しよう、『スシ』とは!?
しまった私としたことが、スシが何か分からない。いや分からないことが落ち度ではないのだ。私は知っていた、今回の二次試験でこのお題が出されることを知っていた。試験内容はすべて、最終試験以外すべて把握している。私は油断していた。試験に参加するわけではないと高をくくって、スシを調べたりなどしなかったのだ。今朝は完全にスシのことなど忘れていた。なんという失態を犯してしまったのだろうか。
これはもう、私も試験のみに心血を注がねばならない。調理器具をすべて把握し、メンチさんの言葉を一語一句聞き逃さず、今までの経験と知識を総動員して推察。
何としてもニギリズシを完成させる!!
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「おい、何かシオリめっちゃ気合い入ってねーか?」
「うん、なんか燃えてるね...」