砂のお城

□急がば回れ
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私は綺麗になってからカツカツとヒールを鳴らしながら、先程よりは慣れた靴でまっすぐ会場へと進んで行った

先程までは見窄らしいと好奇の眼差しで見られていたものが今は普通の人の様に振舞えている。

中には貧者がと罵声を浴びせていた人も今では私にうっとりだ。化粧とは凄い物だ。
唯、もう一度やりたいか?と聞かれたら即答は出来ないだろう。この舐められる様な視線は吐き気がする。
まじキモいというやつだ

「おや、随分と綺麗になったね」

と先程のニヤニヤとは違って紳士スマイルキラッキラで、爽やか〜な感じのクロコダイルが言ってきた
誰だよお前は
と思う位の変わり様だ

このわに野郎知ってやがったなと掴みかかってやろうかと悩んでいたが、今は此奴に合わせてやろうと私の優しさが溢れ出た。
流石私。

「そうですか?貴方にそう言われるのなら嬉しいですわ」

精一杯の笑顔と敬語でそう言うと彼は少し驚いたような顔をした…すぐに直して

「やはりモニカくんは最高の秘書だ」

またまたニコッとして答えた

思ってない癖に!面倒ごとを押し付けるだけじゃないか
それにまだ会って数日だぞ!す、う、じ、つ!!
そんな事分かる訳ないだろ!

まあ人の事言えた義理ではないけれど…

「まあ、お上手。冗談でも嬉しいわ」

と口に手を添えてウフフと笑った。
そして彼の足に狙いを定め水を打った。見事命中。
そしてハイヒールの踵で思いっきり踏んだ。

そこでウフっと可愛く笑ったが彼の顔は引きつり気味だ。

「あら、調子が悪いんですの?外へ出ますか?」

勿論“表でろ”と言う意味だ。

「ああ、少し介抱してくれないか?」

彼もやっと分かったらしい
ええ、勿論、と返事をして外に出た
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