six colors boy

□2話 ふんわりシナモン
3ページ/3ページ

「いらっしゃいませ!ご注文を伺います!」

「チェンジで。」

「お客様、そういう店ではありません。」

クイッと指でサインするおそ松に即答する男性店員。

「ちょっと目立つことしないでよ!
え〜と、アイスティーと…」

トド松がバレないよう裏声で適当に全員分注文する。

「いや、悪いねトド松、ゴチになります。」
「は?何言ってんの? きっちり別会計だからね?」
てへぺろ顔のおそ松にドライモンスターが言い放ったところで、全員の鼻をふわっと甘い香りがくすぐった。


「お待たせ致しました、お先にアイスティーとシナモンロールでお待ちのお客様?」
微笑みながらテーブルの兄弟たちを見回すのは、例の女の子だった。

栗色の長い髪を、清潔感のあるソニヨンでまとめている。

「あっぼ、僕です…」
声が裏返るトッティの目の前に静かにシナモンの甘い香りのするお皿を置き、続けてカップを置く。

一つ一つの動作に全員目が釘付けだ。

「えっと、ゴールデンホットコーヒーが3つですね」
彼女はゆっくりと残りの兄弟の目の前に置く。

「熱いので、お気をつけください!
それではごゆっくり。」
ぺこっと頭を下げ、彼女は去っていった。


暫くして口を最初に開いたのはおそ松だった。
「ちょっと待ってよトッティ…」





「俺のストロベリープララペティリーノ焼酎割は?」

「だからないからそんなメニュー。」
トド松がピシャリと言い放つ。

「凄い甘い香りがしたね〜女の子の香り…」
チョロ松がデレっデレとする。
一松はというと、固まっていて何も話せない状態だ。

「やっぱりどこかで見たことあるんだよなぁ、あの子。
それにこのシナモンの香り。」

「シコ松のシコ用のエロ本に出てたとか?」
「んなきもいもん見れないよ。」
「どういう意味だよ!!!」

おそ松は平然としているが、トド松とチョロ松の言い合いはもう聞こえておらず、彼女の姿を目で追っていた。

「で、クソ松は?」
やっと動いた一松の発言に我に返る面々。

十四松は既に居なくなっていたので、カラ松のいた奥の席を見やる。


相変わらずまだクリームを懸命に崩していた。
その目には若干の涙が見える。

「ほんとにカフェ通ってんのあの人…?」

トド松がシラケた目で彼を見た。
次の章へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ