本棚

□お久しぶりです、初めてですね
1ページ/1ページ

たまに来る兄の友達グループ4人

その1人に、私と同じくらいの身長で、ほかの人たちみたいにあまり...うん、あまり、うるさくなくて、後ろからニコニコ話してる人がいる

私は兄の後ろに隠れながらしかその人を見たことしかない

相手も180cmを越したうるさい声の人の後ろで、サングラスの不審者さん(個人的見解)とお話してるから、見られたことしかない(しかもそれは私の勘違いの可能性がある)

バイバイする時だけ、小さく手を振ってくれるから、軽く会釈で返す

そんな不思議な関係が結構続いていたある日

「あ、飲み物買ってくるの忘れてた」
180cmさんがそう言い始めた
「え〜僕の家何もないよ」
そう私の兄が言う
「なんか買いいくか」
「じゃあ僕も」
「じゃあ俺も行こうかな」
そう、兄とこーすけさんと不審者さん(フジさんというらしいが私の中では固定になってしまった)が続けて言った

ヒラさんはゲーム画面をずっと見ていて、話を聞いているようには思えない

現に何も言ってないし...

「名無しさん留守番お願いできる?」

いくつだと思われているのだろう私

「うん、ただお菓子買ってきて」

「おけ〜」

そう言って、私の兄入れた4人は外へ行ってしまった


しん、とした中にカチカチとボタンを押す音だけが響いている

だめっす、私こういうの慣れてない、話しかけなんてできない...
スマホは自分の部屋に置いているし、かと言って何か立ちあがって歩く、という行為をしようと思えない感情

何気なく天井を見ていたら、カチカチと言っていたボタンの音が終わっていることに気づいた

ん?と思って、音の出ているはずの方向を見ると

ヒラさんが、あれ?という感じで私の方を見ていた

「...」
「...」

なぜ黙る

「え〜と、名無しさんちゃん?」

「あ、あの、他の人たち、お酒、とか買ってなかったらしくて」

「ああ、なるほど〜」

うわ、声かわいい
聴いたことあったっけ?いや、なかった気がする
お兄ちゃんが、あいつ声かわいいよって言ってるのは聞いたことあった、かな?

「なんか」

「ぅえ、はい!」

「結構会ってるのに、お話するのは初めてだねぇ」

「そ、ですね」

のんびりした話し方する方だなぁ、眠くなるやつだ...

「ん〜、でも、今日は久しぶりに来たから、久しぶり...?」

「あ、はい、お、お久しぶりです、お話するのは、初めてですけど...」

私がそう返すと、ニコニコと笑って

「あはは〜確かに、じゃあ、お久しぶりです、はじめまして」


最初の挨拶は、久しぶりのはじめましてでした

「ゲームする?」
「あ、あんま上手くないですよ...?」
「大丈夫だって、俺もそんなうまいわけじゃないし」
「いや、少なくともホラーをアハハハって笑いながらする人の気持ちはちょっと...」
「うっ...」


お兄ちゃんたちが帰ってくるまで、二人で仲良くしました。
次の章へ
前の章へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ