Room1

□好きになったのは1
2ページ/3ページ

放課後。





空が赤くなり静かになった教室。





提出物を終わらせて職員室へ行こうとした時。




「やば〜あれってそういう状況だったよね!?モモ先輩の噂本当だったんだー!」



2人の女子がパタパタと走りながら帰っていった。




(...モモ?帰ったんじゃないのかな...)




職員室へ向かっていた足を2人が走ってきた方向へ変えた。





「ねぇ、さっき見られてたって〜」





使われていない多目的教室の近くに来るとクスクスと笑う声が聞こえる。





モモ「良いじゃん、もう誰もこないよ」




聞き覚えのある私の好きな人の声。




いやな予感がした。



ドクドクと心臓が脈を打っている。
見たら後悔する。





女「このやり方で今まで何人とヤってきたの?笑」





モモ「んー...分かんないー」





そう分かっていても、体は勝手に動いていた。




空いている教室のドアから中を覗くと





机の上に座っている女の人

に迫っているモモの姿。






「....モモ?」




思わず口に出してしまった。



全身の力が抜ける感じがする。



バサバサっと手からプリントが落ちた。




私の声には気づかなかったモモが、プリントの落ちる音でこっちを振り返った。




女「ちょっと、ほら人きたじゃんー」




モモの手が女の人の太ももに触れている。




あぁ、早くこの場から去らないと。




モモ「....みーたん、なんで..」




今の私すごい惨めじゃん。



噂には聞いていたけど、私の前ではいつも通りだからって。



だけど、今私が見ているモモの姿は初めて見る姿。




こんなに好きだったのに、私の好きな人の手は違う誰かに触れてるなんて。



好きだって言ってもないのに勝手に振られた気分。





「あ...プリント、やってて、出しに行こうと...思って...」




言葉がうまく出てこない。




床に散らばったプリントを拾いながら、早く帰ろう。それだけを考えていた。




女「モモ、なんか萎えちゃったから続きはまた今度しよっ」






鼻をつくような強い香水の匂いと一緒に私の横をすれ違っていった。




「私も帰るねっ、モモ明日もちゃんと来るんだよ?」




うまく笑えてるか分からない。




こんな思いをしても、都合が良くても、
好きな人の前では良い人でいたい。
次へ
前へ

[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ