Room1
□叶わない
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他の人を見るときの目とまるで違う。
愛情のこもった、大切なものを見ているような、そんな目だよ。
胸が痛かった。締め付けられて苦しい。
好きな貴方の目に決して自分が映ることはないと分かっていながらも貴方の事ばかり追う自分が惨めで情けなくて。
それでもやめられなくて。
この気持ちをどこに置いていけば良いのかわからない。
せめて、分かってほしい。気づいてほしい。
はじめてのダンスのイベントが終わった後、気持ちを伝えよう。そう決めた。
少しでも見てくれてるなら、カッコよく映りたい。その一心で頑張った。
はじめてのイベントだから緊張してるのか、それとも気持ちを伝えることに緊張しているのか。
自分でもよくわからない。
全身で脈を打ってるのが分かる。
イベントを終え、みんなが自分の時間を過ごしている中、人混みを掻き分けながらミナおんにの姿を探す。
(あっジャスミンの匂い....)
ミナおんにの匂いを体が覚えている。
非常口の扉を開けると、ちょうどモモおんにの姿が見えた。
胸がざわざわする。
嫌な予感がする。これは、だめだ。
分かっていながらも体は動いて、その状況を視覚で捉える。
「うそ.....」
思わず声が出てしまう。ズキッと胸が痛む。