・No one…

□2度目のクリスマス 2
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「よお!邪魔するぜ!」

「こんばんはー!」

「お邪魔します」

「わーい!天にぃいらっしゃい!」

「TRIGGERのみなさん、こんばんは」

「壮五くん、久しぶり!今夜はお招きありがとう!これ、少しだけどみんなで食べようと思って持ってきたんだ」

「あと大人はシャンパンな!」

「ありがとうございます。ただ、朔さんは病院から今飲酒を止められてますから、今夜は飲ませないようお願いします」

「マジか。ワインも持ってきたんだけど、そしたらこれは朔が飲めるようになった時開けてやってくれ」

「分かりました。僕がお預かりします」

「来たね、TRIGGER。こんばんは」

「よお朔、ちょっと肥えたな」

「嫌な言い方だなぁ。まぁいい、今夜はクリスマスイブだからね。大目に見よう」

「しかしすごい数のプレゼントだね!」

「そうだね。Re:valeは仕事だから、残念がってたよ。昼間に来て、顔だけ出して行った。TRIGGERにもよろしくって。ブラホワで会おうって伝えてって」

「そうですか……。朔さん、杖の使い心地はどうですか?」

「悪くないよ。魔法の杖ならいいんだけど、なんだかねぇ。ま、ないに越したことないけど、年明けには杖なしで歩けるようになりたいね」

「無理しないでくださいね」

「ありがとう。天は優しいね。さて、クリスマスツリーの下には君たちへのプレゼントもある。Re:valeからのもあるから、自分の色のリボンがかけてあるのを探して」

「えっ……俺たちに?クリスマスプレゼント?Re:valeさんと朔が?」

「そう。他の人からのものあるよ。楽と天と龍之介に。あ、龍之介のプレゼントは外にあるんだった。あとで見にいこう。ちなみに帰りは車?」

「うん、そうだけど……朔からの、そんなに大きいの?」

「うーん……三月、どう思う?」

「十さんならそのままでも持って帰れそうだけど、車に積めるなら積んだほうがいいと思います!ちなみに、俺と百さんも同じものをもらいました!」

「えー!みっきーもう開けたの?ずりぃぞ!」

「そう言うなって〜」

TRIGGERの3人がキョロキョロしながらツリーの下でプレゼントを探しているのは、なんだか可愛かった。しばらくすると、TRIGGERは両手いっぱいのプレゼントを抱えていた。そこにはステージでは見ることのない、年相応の笑顔が溢れ出ていた。


「そうだ、俺からも朔に、メリークリスマス!うわー、なんか渡すほうなのにドキドキするなー!」

「ありがとう龍之介。なんだろう……魚じゃないよねこの大きさ」

「開けてみてよ。明日まで待つなんて言わないでさ。朔がびっくりするのが見たいんだ!」

「いいの?分かった」

さっきの百瀬のリアクションからなんとなく想像していたが、案の定、周りにいた三月以外の全員のぎょっとした顔が揃った。三月が百瀬からの受け売りを説明してくれているので、ワクワクした気持ちを優先させてバリバリとお構いなく豪快に開ける。

「アクアリウムだ……!すごい!川の中だ!わぁ……すごい。綺麗だね。森がそのまま川に沈んでるみたいだ!」

「あはは!そんなに喜んでもらえると思わなかったな〜!前にさ、川とか湖に入るのが好きだって言ってたから、部屋にあったらいいかなって思ったんだ。これなら冷たい水に入らなくても、綺麗な景色が見られると思ったんだ」

「龍之介!ありがとう!うわー嬉しい!すごいね!こんなに綺麗なものがあるんだね!小さいのにちゃんと本物なんだ!うわぁ嬉しい!本当にありがとう!」

「うん!朔がそんなに喜んでくれるなんて思わなかったから、ちょっとびっくりしたけど、よかった。ちゃんと……ちゃんとそうやって、たくさん泣いたり笑ったりしたほうがいいよ」

「うん……ごめん、ありがとう。でもこれ、本当綺麗だね。ねぇ見て大和、ほら、マリーの家の湖の底で見た景色にそっくりだよ!」

「うん、そうだな。よかったな朔。でもあんまり興奮するとよくないから、落ち着いてな。目眩がしたら言えよ」

大和に宥められるも、龍之介からもらったミニアクアリウムが嬉しくて嬉しくて、久々に胸の高鳴りが止まらない。

「なんか先を越された気分」

「やるな龍!朔、俺からもクリスマスプレゼントだ。メリークリスマス」

「楽もくれるの?本当?ありがとう!」

楽からのプレゼントは、立派な万年筆だった。艶々の白のボディーには、ドイツ語でリヒトと刻まれていた。

「こんな立派なの、もったいなくて使えないな……」

「使えよ。インクも買っておいたぜ。それでこれからもみんなを幸せにするんだろ?そんで次は朔がちゃんと幸せになれよ」

「もう幸せだよ。ありがとう楽。楽のくれたものは、幸せを生み出すものだね。ここからたくさんの音楽が生まれて、たくさんの人を幸せにしていくんだろうな。一生大事にするよ」

「おう。一生使えるようなイイもんだから、安心して使えよ!」

「朔さん、僕からもクリスマスプレゼントです。Merry Christmas and all the best in the New Year. 」

「Thank you. I wish you a joyful Christmas from the bottom of my heart.」

「おいおい……まじかよ」

「天、流石だね!英語ペラペラだなんてすごいね!」

天からの包みはちょっと変わった形をしていた。一体何が入っているのか、ますますワクワクが止まらなかった。

「やった。ボクのが1番豪快に破いてもらえた」

「俺のは小さかったんだよ!」

「わあ!すごい!見て!りんごの木だって!りんご……りんごなるの?!すごいね!へぇ、鉢植えのままでいいんだ?わぁ〜すごいなぁ。こんなものあるんだ。ん……ほのかに甘い香りがする。大きくなってきたら合宿所に植えられるね。天、りんごがなったら食べにおいで。アップルパイをご馳走するよ」

「ありがとうございます。喜んでもらえて嬉しいです」

「天もやるなぁ」

「やっぱり朔は自然が好きなんだね!天、朔が元気になってくれて、本当よかったね!」

「うん、これにしてよかったよ。朔さん、僕たちも開けていいですか?」

「うん、もちろん」

「おいまじかよ……これ燕三条の包丁だろ?しかも八乙女楽って名前入りじゃねぇか!」

「料理するって聞いたからね。よかったら使って欲しい」

「おう、ありがとな。朔にもこれでなんか作ってやるよ」

「それは楽しみだね。ああ、蕎麦でもいいよ?」

「蕎麦は蕎麦包丁で切るんだよ!」

「へー詳しいねぇ……?」

「ふ、普通だろ!」

「朔さん、本当にこれ頂いていいんですか?」

「もちろん。それでお茶を入れて、ゆっくりして。好みにあった?」

「はい、もちろんです。エインズレイのティーセットなんて、嬉しいです。あの、あとこれ……ティータイムチケットって何ですか?」

「今度本場の美味しいお茶会をしようと思って。タイミングのいいときに声をかけてよ。贔屓にしているところがあるから、ワゴンにあるスイーツを好きなだけごちそうするよ」

「ありがとうございます。是非ご一緒させてください」

「そうだ、龍之介のは外だった。行こう。こっちだ……っ……」

「朔、気をつけろよ。支えいる?」

「ありがとう大和。お願いしようかな。家の中って意外と危ないからね」

大和に支えてもらいながら、中庭に向かう。みんな気になるのか、ぞろぞろとついてくる。

昼間は気にならなかったが、夜は冷え込む。中庭に出ると、ぶるっと身体が震えた。

「龍之介、MerryChristmas」

「えっ……クロスバイクだ!」

「百さんと俺と、3人色違いでお揃いです!これで今度遊びに行きましょう!」

「朔ありがとう!本当にいいの?なんか夢みたいなもの貰っちゃったなぁ!大事にするよ」

「どういたしまして。3人ともようやく事務所にも戻れたみたいだしね。よかったよ。さ、寒いから中に入ろう。雪でも降りそうだ」

「よし、んじゃ行くか!」

「えっ、なに?どうしたの?どこ行くの?」

「朔、ひとまず寒いのは身体に障りますから、これを着てください」

「えっ、これ……」

「MerryChristmas.フライングですが、ワタシから朔へクリスマスプレゼントです。ノースメイア産のコートですから、風邪知らずです」

「そうか。ナギありがとう。うん、とっても温かいね。肌触りもいいし、とても素敵なコートだ。大事に使うよ」

「喜んでもらえてよかったです。さ、大人数でドライブです」

そのままナギにエスコートされるように車に乗せられると、みんな定位置が決まっていたかのように車に乗り込む。いつの間にか、全員外行きの格好をしていた。

「シートベルトしろよー。朔は具合悪くなったら言えよー」

どこに行くのか、教えてはもらえなさそうだった。みんなにこにこ……というよりニヤニヤするばかりで、車内は変に浮かれた空気が流れている。陸、壮五、環はTRIGGERの運転する車に乗っているようだった。

TRIGGERの車は、大和の運転する車の後ろから付いてきていた。


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