・紅郎との日々
□イチャイチャの定義
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「ねぇ紅郎、イチャイチャしたい。」
「俺は構わねぇが…どうした改まって。つーかイチャイチャってどうやってするもんなんだ?」
頭にはてなを浮かべながら顎に手をあててうーんと真面目に考える姿は、いつ見ても好感が持てる。こう言っては悪いが、その見た目に反して紅郎は意外にも硬派で真面目でしっかりしているのだから、そのギャップには過去何度も驚かされてきている。
「とりあえず、スキンシップ…とか?」
手始めに、と思い、頭を撫でてみる。もちろん、よしよしと小さい子にするようなものではなく指の間に髪を入れ頭の形を確かめるように撫でる。
そのままながれてきた手で首筋をたどると、くすぐったいのか紅郎の肌がぴくりと反応する。輪郭を指先でそっとなぞると、今度はすべすべの肌を堪能すべく顔を触ろうとする。
「そこまで、だ。」
「え〜、嫌だった?」
「いや、そうじゃねぇけどよ。やられっぱなしは性に合わねぇんだ。」
そう言うと私が今し方したように、髪を掬い、手の甲で首筋をそっと撫でてくる。思わず身体をよじるとふっと嬉しそうに微笑まれた。
どちらからともなく手を繋いで、指を絡める。なるべくゆっくり、非日常を演出するようにわざとじれったく恋人つなぎをすると、一気に顔が近くなる。
「キス…していいか。」
「うん…して。」
そっと触れるだけのキスを何度か繰り返す。体温を分け合うように身体の距離が近くなったのをいいことに、再び二人で互いの身体に触れ合う。
キスをしながらだというのに、二人でクスクスと笑いながら楽しく触れあう。次第にふれあいはくすぐりあいに発展し、まるで幼子がじゃれ合っているようになる。
「こら、いたずらばっかしてっと食っちまうぞ。」
「んふふ、やだっ、くすぐったいよ紅郎。」
紅郎は素早く私の手を掴むと、手首にキスをする。それがまたくすぐったくて暴れてみるけれどかなうわけもなくて、紅郎に抱きつくように全体重を掛けて倒れ込む。
「いちゃいちゃできて楽しいか?」
「うん、幸せ。」
「そうか…嬢ちゃんは純粋なんだな。」
ぐっと腰を抱き寄せられ紅郎の下半身と密着すると、それがはっきりと分かる。
「俺はこのまま終われそうもねぇ。だから…」
もっと大人なことしねぇか?と耳を包むように食まれる。
「蒼生…いいか。」
血が、身体の中心で脈打つのを感じる。だめなわけない。
いちゃいちゃは、紅郎にとってはスイッチになるらしい。
題;イチャイチャの定義