・紅郎との日々

□ドッキリ
1ページ/1ページ

部屋のドアが開くと、そこには紅郎が立っていました。


「〜っ!!」

「す、すまねぇ!」

バンッと大きな音で扉が閉まる。

時はさかのぼること数時間前。先日の話から私は早速新しい下着を新調しにお買い物へ行きました。可愛いのがご所望だとの事でしたので、デザインや色が可愛いお店を事前に調べて行きました。
するとどうでしょう。お店にはマカロンのような淡い色を基調とした色とりどりの可愛い下着が所狭しと並んでいるではありませんか…!

綺麗なお姉さんにスリーサイズをを測ってもらってから、あれこれと選んでいると、店員さんが薄くてすけすけでふわふわのキャミソールを持って来てくれました。

「こちら新作のベビードールなんです。試しにいかがですか?」

じゃ、せっかくだからといって一緒に試着する。着てみるとふわふわと広がる裾はまさに「可愛い」としか言いようがない。まるで天蓋のようだ。透けているせいで下着は見えるが、それがかえってまた可愛い。互いが互いの良さを引き立てているようなデザインだ。

「ありがとうございましたー。」

買ってしまいました。ベビードール。淡い水色を下着とセットで。

そして三点フルセットで着てみようと思い、家に着いてから一人寝室でいかがわしいファッションショーをしていたところ、紅郎が帰ってきてしまったのだ。

興奮していた私は玄関のドアが開いたのにどうやら気づかなかったらしい。紅郎は紅郎で、帰ってきても部屋の電気が付いてるのに返事がないから、私はお風呂にでも入っていると思ったのだろう。ノックも無しで寝室のドアを開けたのだ。

で、冒頭に至る。

「く、紅郎…?」

「お、おぅ…すまねぇな。」

姿は見えないがきっと赤い顔をしているに違いないだろうぎこちない返事が聞こえる。

「う、ううん、私も気づかなくてごめん。ちょっと、浮かれてて…。」

「お、おぅ…。」

びっくりするぐらい会話が進まない。紅郎は紅郎でさっきから同じ返事の繰り返しだ。

「ねぇ、可愛い?」

こうなったら聞いてみようと思った私は、扉一枚向こうにいる紅郎に思い切って問いかける。だってこれ買ったのだって紅郎にちょっとでも喜んで欲しいからだし、可愛いなって言われたいからなのだ。いわゆる「見せるため」の下着でもある。

すると紅郎はそっと扉を開いて、おずおずと入ってきた。

「顔、真っ赤じゃねぇか。」

「は、恥ずかしいもん…で、でもね、喜んで欲しいから、買っちゃった。」

「そういうこと男に言うんじゃねぇ。おまけにそんな恰好で…。それ、外で着るなよ。」

「そ、外では着ないよ!紅郎の為だけに買ったんだもん…。」

そう言って顔をあげると同時に、頭を引き寄せられ深いキスをされる。

「可愛い。蒼生、可愛いぜ。いつもよりずっと。もう我慢できねぇ。」



題:ドッキリ


[戻る]
[TOPへ]

[しおり]






カスタマイズ