・夢の先には…

□1 序
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「君、歳はいくつかな。」

「17、です。」

「じゃあ、二年生だね。敬人、彼女に制服の用意を。」

「英智!まさか…」

「ああ、だってそうなるべきじゃないか。この学院から、しかもアイドル科の敷地から出られないんだから。天からの啓示だと思わないかい。」

そう言うと金髪の人はそっと窓の外に目をやる。

「良いじゃないか。帰り方が分かるまでここで生活してもらえば。それとも敬人は他に妙案でもあるのかい。」

「はぁ…。まったく、度し難い。」







「にいさん達、どうしよウ。どうしたらいいカ、皆目見当も付かないヨ。」

「大丈夫じゃよ。我らも力を貸そう。」

「そうです。『ひとり』じゃありません♪」

「Amazing!本当に予想を遙かに超えたすばらしさで驚きに満ちあふれていますよ!」

「ふん、面倒なことには巻き込まれたくはないのだよ。しかし困っているなら手を貸してもよい。出来る範囲でね。」

「まさカ、異世界から女の子を呼び寄せるなんテ…」


***



無理を言って、男物の制服を借りた。どうしてこんな事になったのか、全く理解できない。それともまだ夢でも見ているのだろうか。

確かに今朝、病院で荷物をまとめ、久しぶりにセーラー服を着て学校に向かっていた。
放課後は【Another day】で久しぶりに舞台の練習があったはずだった。

病院からの道を抜け、目の前の通りに踏み出したと思ったら、目の前が一瞬ぐにゃりと曲がった。次の瞬間、目の前には赤いアシンメトリーの髪をした男の子が目を見開いて尻餅をついていた。

焦った顔をして瞬く間に居なくなったと思ったら、四人の男性を連れて帰ってきた。みんな驚いた顔をしながらこちらを見てこそこそと話をするかと思ったら、すぐにここを出た方が良いと言われ、外に案内された。

でも、なぜだか私はその敷地からは出られなかった。そんな時、通りかかった二人組に再び室内に連れ戻された。どこから入ったのか、なぜここに来たのか、尋問のような時間が続き、ようやくいくつか分かった。ここは私の知らない土地。正確には、知らない世界かもしれない。

私が居なかった世界には存在しなかった場所。私の制服を見ても何も言わない彼らからも、それは十分推測できた。日本でもこの制服を知らない人はいないと思っていたのに。

トランクを開け、サラシにタオル、コルセットを出す。丁寧に体型を作ってから黒いアンダーシャツを着る。ブレザーは生まれて初めて着る。しかし幸いなことにネクタイは舞台で何度も結んできた。Night stars以外で結ぶ日が来るとは思わなかったけど。

丁寧に髪をまとめウィッグをかぶり、男用の化粧を薄めにする。衣装用のシークレットブーツを履くと、ちょっとやばそうな男の子になってしまった。まぁいいか。そういえば一人称を決めてなかった。そんなことを考えながら、扉をくぐる。


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