Schwarz Welt

□Schwarz Welt 6
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スザクは、新宿ゲットーから戻ると、セシルやロイドと共に今取れたばかりのデータを見ていた。
だが、スザクにはランスロット、もといナイトメアフレームについての専門的な知識はあまりないため、そのデータを見てもあまりよく分からない。
画面から目を離すと、こちらへ向かってくる人影が見えた。

「スヴェナさん!」

思わず呼びかけてしまった。
スヴェナは応えるようにして口元を緩めた。

「お疲れ様、スザク君。どうだった?初めての感想は。」
「はい。すごいです!まさかこんなとは!」
「何せ、僕たちががんばって造った第7世代ナイトメアフレームだからね。」

ロイドがちょっと自慢げに言った。

「あ、そうだわ。スザク君、怪我の方はどう?痛む?」
「えぇ、少し…。でも大丈夫です。」
「無理をしてはだめよ?」
「そうそう。無理は禁物だよ。」
「無理させた本人が言う言葉ですか…。」

セシルがすかさずツッコんだ。
そのとき、スヴェナの携帯がピピッという短い電子音を発した。
ポケットから取り出し、しばらく画面を見ていたがふいに顔を上げ、言った。

「ねぇ、ロイド。ちょっとそれ借りてもいいかしら?」

スヴェナが机の上のPCを指差した。

「ん?どーぞ??」
「ありがとう。」

ロイドから承諾を得ると、スヴェナは助手の方からPCを失敬した。
スヴェナは携帯をPCに繋ぐと、滑らかにキーボードの上で指を躍らせた。
そしてすばやく画面に目を走らせると、端末を外した。
お礼を言って助手の人に丁寧にPCを返すと、ロイドが首だけをこちらに向けた。

「何見てたの?」
「ロイド、私行かなくところができたからこれで失礼するわ。」
「へ?ちょ、ちょっと…。」

ロイドの制止を無視してスタスタと歩き出した。
しかし、何歩か歩いたところで急に振り返って、スザクのことを見た。

「またね、スザク君。」
「あ、はい。」

スヴェナはふふっと小さく笑みを漏らし、立ち去った。
そんな彼女の後姿を見送りながらロイドが言った。

「なーんか機嫌いいなぁ。キミ、何かした?」

ロイドがセシルに尋ねた。

「いえ、特には…。」
「じゃあキミ?」

ロイドは首だけ捻ってスザクの方を見た。

「じ、自分には分かりかねます…。」
「えー?じゃあぁ―――。」
「はいはい、そろそろ仕事に戻りましょうね〜?」

更に首を捻ろうとするロイドをセシルが怖い笑顔で押しとどめた。
スザクはスヴェナの後姿を追ったが、そこにはもう人影はなかった。


スヴェナは嬉しさを表に出さないよう必死で堪えながら、自室へと向かっていた。
先程きた連絡で、倉庫で見えたヴィジョンの中に出てきた少年の通う学校がほぼ間違いなく特定できたということだった。
実際に送られてきた資料を見ると更に確信が持てた。
ランスロットの始動データも見ずに来てしまったのは少し残念だが仕方がない。
あの倉庫でCCがあの少年を身を挺して庇ったということは、CCにとって彼が重要だから。
おそらくCCは「見つけた」に違いない。
ということはおそらくその少年と行動を共にしているはずだ。
意外と早く見つかりそうね…。
そう思った時、携帯が着信を知らせた。
部下からだ。

「何?」
「アシュフォード学園への編入準備が整いました。」
「ふふっ、流石仕事が早いわね。明日から行けるようにしてくれたかしら?」
「はい、勿論です。学園側へ渡した資料はPCの方に送ってありますのでご確認を。」
「ありがとう。」

そう言ってスヴェナは回線を切った。
明日からは17歳の少女として振る舞わなければならない。
それを考えるとスヴェナは複雑な気持ちにならざるを得なかった。







  

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