ようこそ、不死鳥さん

□教えて、マルコ
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水族館を出て、マルコと2人で真っ直ぐ家に帰った私は先にマルコに家に入ってもらい、自分はバイクを車庫に仕舞った


その時、自分でもよく分からない違和感を覚えた


車庫の中には愛車と今入れたバイク


他には普段使わねぇ道具が仕舞われている





家を空けた時と何ら変わった箇所は見当たらない


なのに何故、こうも気持ちが悪いのか…


何かが違う…けどそれが何か分からない


もどかしく感じる言い表せない感覚に眉間に皺を寄せていると、家の方から何やら慌ただしい物音がした


人の足音、その合間に聞こえるのはマルコの怒声と知らない男と思える人間の声










冷や水を浴びたかの様に私の背筋は凍った




















「マルコ!?」




















弾かれた様に車庫を飛び出して私は玄関を蹴破る勢いで開けた


すると中から中年太りした男が飛び出し、思わず身体を逸らして避けてしまった


お蔭で男は走り去り、近くに停めてあった車に乗り込んで逃げて行った


幸い車のナンバーは覚えたので足はつくだろうから男の事はこの際どうでもいい





私にとっての最大の問題であるマルコの無事を確認しに行った


靴を乱暴に脱ぎ捨て、リビングに入ればそこには背中に一筋の傷を負ったマルコが立っていた


赤く滲んでいる傷を見て私の背中に再び悪寒が走る




















「マルコ!マルコ、大丈夫か!?背中、お前…ッ!!」



「ナツヤ、落ち着けよい…」



「これが落ち着ていられるか!!救急車…!ッ…、駄目だクッソ!!」




















必死になっている私に対してマルコは嫌に落ち着いていて私はその態度にキレそうになったが、そこはグッと堪えて携帯を取り出す


だがそこでマルコがこの世界の人間じゃねぇ事を思い出した


保険証も何もねぇマルコにこんな事件性の高い傷があると知れば確実に警察が絡む


最悪の事態、マルコの身柄を何らかの理由で警察に拘束される可能性もある


そうなりゃマルコが元の世界に帰るチャンスを失うハメになる!





それだけは何としてでも避けるべきだ


だがそうなりゃ一体どうすれば…!?


落ち着け、落ち着くんだ…










携帯を握り締める手の色が白くなっている事なんて心底どうでも良かった


今はただ、マルコの傷をどうやって治すかが先決…私がしっかりしないといけねぇんだッ


考えろ、考えろ、考えろ、考えろ!!




















「ナツヤ…聞いてくれよい」



「あ゛!?」



「俺は平気だよい。こんな傷、すぐに治っちまう」



「は……!?何言って…」




















おかしな事を言い始めたマルコを落ち着かせようと手を伸ばすが、マルコはそれを拒む様に避けて1歩後ろに下がった


続いて1歩、2歩と下がったマルコの顔は笑っているのに涙が見えた気がした




















「マルコ…?」



「……ナツヤ達には、秘密にしてたんだ。怖がらせたくなくてねい…」



「何を…」




















マルコが何を言っているのかサッパリ分からない私はただ放置されて、静かに目を閉じるマルコを見ている事しか出来なかった


何がしたいんだ、と声に出そうとしたのに…声が上手く出ない










マルコの背中から、青く光る炎が見えたから





熱をイメージする炎の筈なのに、青く揺らめく炎からは焦がれる様な熱はなく、神秘に満ち溢れた美しさがあり…それを背負うマルコに私は場違いにも見惚れてしまった




















−青い炎は…−










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