ようこそ、不死鳥さん

□おはよう、マルコ
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何も見えない真っ暗闇


あぁ…私寝てるのか


もうそろそろ目が覚めるんだろうな





日曜日…何して過ごそうか





目を閉じたままそんな事を考えていると、急に体に衝撃が走り、次の瞬間背中を強打した


衝撃を受けた時に完全に目が覚め、視界に入ったのは顔を真っ赤にしたマルコだった









だけど私が落ちたのを見て慌てて身体を起こしてくれた




















「わ、悪ぃ!大丈夫かよい!?」



「ゲッホ…何の恨みがあってやったんだよ……」




















咽る私の背中を摩りながらマルコは弁明しようとするが、どうやら記憶がねぇみてぇだ




















「お、俺が目を覚ましたらナツヤが俺を抱き締めてたんだよい!何で俺はここで寝て…!?」



「あー、分かった分かった。一から説明すっから落ち着け」




















取り乱すマルコを抑え、昨日の夜何があったかを説明する


酒を一緒に飲んでいて所までは覚えているらしい




















「んで、お開きにしようとしたらお前が駄々捏ねて抱き着いてきて…」



「ちょっと待て!!!」



「あ?ンだよ」




















顔が赤かったマルコは更に耳まで赤くしてわなわなと震えながら私を指さした


人に指さすなって教わらなかったらしい




















「だ…抱き着いた?俺が…ナツヤに……!?」



「殴って引き離そうとも思ったがお前寝やがったんだよ…。仕方ねぇから私の部屋まで引き摺って運んだ。
で、やっぱ離してくれなかったから一緒に寝た。
疾しい事は一切無ぇ!分かったか?」



「…………ッ」




















疾しい事してねぇっつってんのに何故か首まで赤くして固まるマルコ


おーい、ショート寸前かお前





目の前で手を振ってみるが一切反応無し


下手したら湯気出そうだなーとか思ってたがそれはそれでシャレにならん


仕方なくマルコの両頬を手で思いっきり挟んだ


バチンッと痛そうな音がしたがそこは見なかった事に




















「いッ!!?」



「正気に戻れー。別に大人だからとかいい歳とかンなモン気にしてないから。
そんな事気にしてたら誰も大人になんてなりたがらねぇだろうよ」



「………」



「だけど酒に頼るなんて真似はすんじゃねぇ。
それじゃあいざって時に自分の力で泣けなくなるし、自分の気持ちを自力で言えなくなる。
そんな生き方、息苦しいだけだろ?」



「ッ………」




















マルコの目は徐々に潤みだした


流すまいと歯を食いしばるマルコを見ているのが辛くなった私は、昨日と同じ様にマルコを抱き締めた


腕の中に納まるマルコの顔を見ない様にしながら、出来るだけ優しく頭を撫でる










それしか今の私には出来ないんだ




















「我慢なんてすんじゃねぇよ…。ここは異世界なんだ、お前の世界じゃねぇ。
だったら…しがらみも何もねぇんだから、好きな様に生きても良いだろう」



「…ナツヤ……ッ」




















胸元を熱い何かが濡らしていく


それが何なのかなんて










言うのは野暮だろ…?




















−暖かい朝−










(…これどうする?)



(先にご飯作ってからもっかい来よっか)



(マルコ兄ちゃんいいな〜…)










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