ようこそ、不死鳥さん

□ようこそ、マルコ
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「おい、どうしたんだよい!?一体何を…」



「いいから黙れ!」



「ッ……」





















クソッ、クソッ、クソッ!





苛立ちと焦りで可笑しくなりそうな私は、ひとまず事の原因であるマルコに口を開かねぇよう釘を刺しておく


今妙な事口にされたら思わず殴りそうだからな!!





全力疾走で呼吸が浅いが、そんなのはどうでも良かった


それ以上に今の私は発狂寸前だ




















「…どういうつもりだ」



「あ…?」



「何で間に入った、何で相手にした、何で手を出した!!?」



「!?…おい、ナツヤ落ち着けよい」




















あ゛ぁ…腹が煮え滾って、脳が破裂しそうで、血が沸騰してやがる!





クソッタレが!




















「お前自分の立場分かってんのか!?お前はこっちの人間じゃねぇんだぞ!?」



「ぁあ!?そんなの嫌って程分かってるよい!」



「じゃあ何であんな奴等の相手なんかしやがった!?
そもそも絡まれたのは私であってお前じゃねぇ!!」



「殴り掛かってきたじゃねぇか!!」



「適当に投げ飛ばしてズラ借る予定だったんだよ!!勝手な事してんじゃねぇ!!」



「助けられて言う台詞がそれかよい!?礼儀も何もねぇのか!?」




















互いに声を大にしてヒートアップしてきた


マルコも今まで見てきた冷静さは既に無くなっていた


公園に置き去りにしてきたのかもしれねぇ





そんな事を思っている内はまだ私の方が冷静なんだろう


現にマルコは肩で息をしながら喚き散らす




















「あんな事を言われて黙ってるのかよい!?お前は!」



「雑魚の戯言に過ぎねぇだろうが!ンなモンに一々反応してやる価値もねぇんだよ!!」



「多勢に無勢って言葉を辞書で引け!女1人でどうにか出来るって思ってるのか!?」



「今までアレの倍以上相手にしてきたわ!!普通の女じゃねぇんだよ私は!!」



「こんな柔らけぇ手をしといて女じゃねぇってどの口が言ってんだよい!!」




















段々話が脱線し始めた所で、遂に私は本音を晒した





未だに興奮冷めやらぬマルコの胸倉を掴み、無理矢理屈ませる


顔と顔との距離、僅か5cm


どアップで映るマルコの顔は、正に鳩が豆鉄砲を食ったような面だった




















「お前に何かあったら、私が困るんだよ!!!」



「!!!」



「あのままだと警察が来て、私の力じゃ手出し出来ねぇ事態になってたかもしれねぇんだよ!!
多勢に無勢だぁ!?そりゃこっちの台詞だこのアホ!!
この世界でお前の味方が出来るのは私達だけなんだぞ!?」



「……ッ」



「あんなクズの為に、お前が元の世界に帰れるチャンスを失くすなんて……考えただけで気が狂いそうだ…ッ」



「ナツヤ…」




















胸倉を掴んでいた手を離し、私はマルコの正面に座り込んだ


もう怒鳴る気力もねぇよ…




















「頼むから…私の元から離れる様な真似すんじゃねぇよ……」




















そんな私の弱々しい言葉は、路地の奥へと消えていった




















−全ては貴方の為−










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