ようこそ、不死鳥さん

□ようこそ、マルコ
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低いドスの利いた声


それは特に感慨深いモンでも、記憶に残す程大層なモンでもねぇ






昔何度も吹っ掛けられた暇人のゲームの誘いだ










面倒くせぇが、ここで変に抵抗を見せて後日絡まれるのは更に面倒だ


仕方なく身体を起こせばそこには7〜8人の不良共が気色悪ぃ笑み浮かべてやがった


その手にはパイプだの金属バットだの、お前等ご○せんの雑魚ヤンキーかよ





声を掛けたリーダーらしき男は私の目を見て笑いながら口を開く




















「よぉ、東雲ぇ…。テメェが男連れて歩いてるなんて、明日は世界でも終わるか?」



「知るか、ンな事…」



「ハッ、相変わらず口の利き方がなってねぇな、テメェは。それでも女だってんだから驚きだよな」



「あぁそうかよ」



「…随分余裕じゃねぇか、あ゛?」




















胸糞悪ぃ声が更に低くなり、目の前に居る奴は血管を浮かべて顔の筋肉引き攣らせてやがる


後ろも同様、若しくはキレた男にビビってる


面倒なスイッチ入れたか?





それより気になるんだが…マルコから何か凄ぇオーラが漂ってるんだけど


なぁお前どうした?


さっきまで笑ってたマルコは別人格とかか?


もう何かそっちが気になって暇人とか心底どうでもいいんだけど




















「テメェ…調子乗ってんじゃねぇぞ」



「あーあー、悪ぅ御座いました。生憎お前等みてぇに暇じゃないんで、そんじゃな」



「ッ…のアマが!」




















遂に堪忍袋の緒が切れたのか、男が私の肩を掴んで殴り掛かってきた


適当に投げ飛ばそうと思っていたのに、男と私の間に何故かマルコが入ってきやがった




















「!?」



「あぁ!?何だよおっさ、ッ!!?」



「口の利き方がなってねぇな、ガキ共」




















止めようとした時には遅く、マルコは男の顔を片手で掴んで握り始めた


余程強いのか男の顔は一気に赤くなり、抵抗してマルコの腕を掴む





が、マルコにはそんなの全く効かず、結局男は悲鳴を上げて惨めに助けを乞い始めた




















「ぃ…ぎゃああぁぁぁあああああ!!」



「ひ、ひぃ…!」



「おい、どうした。口先だけかよい?」



「マルコ!」




















未だに締め続けるマルコに制止をするのと同時に人が集まり始めた


このままじゃ警察を呼ばれかねねぇ!


マルコの腕を掴んで買い物袋を引っ掴んだ私は全速力で逃げた





後ろを走るマルコの声も聞かず、ひたすら走り続けた私は人気の無ぇ路地に入ってマルコを壁に押さえつけた


私の顔を見て困惑しているこの男は、本当にさっきの冷徹な目をした男と同一人物なのか…?










お前は一体何なんだ、マルコ…!




















−その氷の目は…−










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