ようこそ、不死鳥さん

□ようこそ、マルコ
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「思ったより買わなかったねい」



「いや、十分買ったからな?お前は一体どんな買い物を想像してたんだよ」










買い物も終わり、マルコの要望を叶える為に私は買い物袋片手に行きと同じ様にマルコと手を繋いで街を歩いていた


マルコは自分が持つ袋を軽く持ち上げながらそんな事を言ったが、それでもかなりの量を買った


少なくとも3〜4日は保つだろう量だぞ


どんな買い物をすると思ってたんだコイツは




















「俺らの買い物は1つの食材で数十kgは買うねい」



「規模が違ぇ…どんな船だよ一体」



「…大きな船だよい」



「…………」






















まただ


マルコは自分の話をする時、嘘と真実を混ぜる





何故分かるのか、そう聞かれたら正直答えられない


だけど分かる


マルコは私に、私達に本当の事を言うべきかどうか迷っているんだ


だから言いたかった真実に、咄嗟の嘘を塗り重ねる


その滲んだ言葉が、私には悲しく聞こえた










別に私はマルコの全てを知りたい訳じゃねぇ


例えマルコが極悪非道な人間なんだとしても、"今"、"目の前に居るこの男"とは何の関係もない





私の持論だが、"過去"と"現在"は繋がっていても関係はない





もし関係があるのなら、人間は今この瞬間に何の価値も無ぇ事になる


価値はあるか無ぇか分からねぇ"未来"が勝手に決める事になる


目に見えない誰かが勝手に決めつけて、自分はそんな未来に一色に染められて終わっちまう










何て空しく無意味な行為だろうか


私はそんなの耐えられねぇよ


自分が耐えられねぇ事を無闇に他人させるなんて外道な事だ


少なくとも私は、そんな事をマルコにしたくない





ところがこの男は面倒な事にわざとなのかと聞きたいぐらい隙だらけなんだ


こうも無防備だとどう攻めてやろうか悩む…










そんな私の心境なんか露知らず、マルコは私の手を引いて公園を指さした




















「ナツヤ、少し休んでいくかい?」



「あ?何で…」



「眉間に皺が寄ってたからねい、疲れてんのかと思って」




















まさか、心配していた奴に心配されるとは…


私は深い溜息を吐きながらマルコに案内されたベンチに座る


昼間の熱をほのかに残したベンチは私の身体から力を吸い取る


お蔭で私の身体はだらしなく重力に従った





あ゛ー…らしくねェ事考えてたら頭疲れたわ


隣りでマルコが私を見て笑ってるのもどうでもいい























「―――――――おい、東雲」




















…あ゛ー、うぜぇ





















−嵐の予感…?−











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