ようこそ、不死鳥さん

□ようこそ、マルコ
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手を繋いだままマルコとスーパーに来てみれば、今日は安売りの日だったらしく人が多い


これは手を繋いでて正解だったな


迷子とかありえねぇとは思うが、万が一の事を考えればこれが得策だわ





籠を持って中に入れば、外の熱気など知らない少し強めの冷房の風が肌を撫でる


隣りではマルコが天井を見上げて風の正体を探っていた




















「この冷気はどうなってんだよい?」



「エアコンっつー機械があって、空調を管理してんだ。夏は涼しく、冬は暖かくしてくれる」



「便利だねい…。船で欲しいくらいだよい」



「船なぁ…マルコの乗ってる船がどんなか知らねぇから何とも言えねぇな」





















エアコンの話は結局船員が壊すかもしれないという事で諦めるマルコ


それでも何かブツブツ言って諦めきれていないらしい





















「何でそんなにエアコンが欲しいんだ?夏の海は暑いからか?」



「それもあるがねい……親父の体調があまり良くねぇんだよい」



「親父さん…?親父さんも船に乗ってるのか?」



「ん、あ、あぁ…そうだよい」



「………?」




















マルコの口から出た"親父"という単語に反応すれば、何故か戸惑った顔を見せる


不思議には思ったが聞かれたくない事なのかもしれねぇと思い、深くは追及しなかった





気にしないフリをして買い物を再開する


今日の夕飯は何にするか…


マルコが居るから和食じゃねぇのが良いな




















「マルコ、何かリクエストあるか?」



「俺かい?俺は別に…」



「んー…、あ、卵安い。ケチャップも買ってオムライスでもするかー」




















オムライスをするのに必要な卵、ケチャップ、ピーマン、玉葱、ニンジン、鶏肉を次々と籠に入れる


物を入れる毎に重くなってくる籠


いい加減腕に掛けて持つのはしんどくなってきたので、マルコに言って手を離してもらおうと思った時


籠がフワリと浮き、いつの間にかマルコの手に移っていた




















「あ、いいよマルコ、私持つから」



「女に重たいのを持たせる訳にはいかないねい」



「女?私が?…………マルコは誑しか」



「何でそうなるんだよい」




















だってそうだろ


こんなどこからどう見ても女らしくない私をマルコは平然と女だと言い張る


そんな事出来るのは天然か誑しなモンだ


マルコが天然とは思えない、よって後者の誑しだ





だけど本人は首を傾げるだけで他意は見えない


こいつ……























「分かった、マルコは天然誑しなんだ」



「いい加減怒るよい」




















−天然?計算?−










(それならナツヤだって……)



(?何か言ったか?)



(何でもねぇよい)










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