ようこそ、不死鳥さん

□ようこそ、不審者さん
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「な…ッ、信じるのかよい!?」




















男は慌てた様子だが、何をそんなに戸惑う必要があるのか




















「だってそれ以外に説明つかないし」



「アンタが嘘吐いてるってんなら話は別だが」



「けどお兄さん悪い人には見えないしね〜」



「うんうん」






















私達の言い分を聞けば何故かまた溜息を吐く



何がしたいんだ、この人…




















「けど、そしたらお兄さん行く宛ないよね?」




















コーヒーを啜りながら美依が凄ぇ大問題を突き出した





そらそうだ、異世界に来た事に今気付いた人が準備万端な訳ねぇわな


男を見れば頭を抱えて大問題に悩まされていた










ふと妹達の顔を見れば全員同じ事を考えている様子


以心伝心とは正しくこの事だ




















「んじゃここに住めば?」



「………は?」



「お兄さん家もお金も無いんでしょ?じゃあここで私達と一緒に帰れるまで住めば良いよー」



「ウチはお金は平気だし、部屋もあったよね?夏艶姉ちゃん」



「おー。杜希の部屋に布団あったっしょ」



「あるよー。使った事ないんじゃない?アレ」



「まぁ必要性なかったしな。つー訳で、こっちとしては全然OKだから、あとは好きに選んでくれ」



「……………………………」





















ポカンとした顔で呆ける男はそのまま固まってしまった




















「固まっちゃったよ、夏艶姉ちゃん」



「思考停止ってか?美依、写メるな」



「ちぇー。まぁ急に言われたら驚くよね、そりゃ」



「コーヒーお代わり要る人〜」



「あ、笑美姉ちゃんちょうだーい」



「杜希、自分で淹れろ」




















相変わらずいつも通りに過ごす妹達に呆れながらコーヒーを飲み干す


カップをシンクに置いてソファに戻る頃には男は我に返っていた





かと思いきやいきなり頭を下げられた


ブンッて風を切る音がする程のスピードで…



















「すまねぇ…!恩に着るよい!」




















膝に手を着いてこんな小娘に頭を下げる男に私達は思わず苦笑した


まぁ、そういう訳で…




















−ようこそ、お兄さん−










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