ようこそ、不死鳥さん

□おはよう、マルコ
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部屋に移動してそれぞれが得意な楽器を手に取る


マルコには部屋に置いてある一人掛けのソファに座ってもらっている




















「本格的だねい…」



「マルコの世界の楽器とは違ったりすんのか?」



「あ、同じなんだって。音楽もロックやジャズ、クラシックとか、私達のと変わんないんだって。ねー?マルコ兄ちゃん」



「あぁ、そうだよい。だから、好きなのを弾いてくれて構わねぇよい」




















口元を緩めるマルコの言葉に甘えて、私達は好きな曲を演奏する事にした





因みに私はギターボーカル


美依はベース


笑美はドラムス


杜希はギターだ





さて、何を演奏しようか…




















「何かやりたいのねぇの?言い出しっぺ」



「んー…あ、あれ弾きたい」
























美依が言った曲を聞いて全員がOKする


久し振りだから正直鈍ってる気しかしねぇ…





それで待ってくれる程ウチの妹達は優しくないから腹括るけど



















「いっくよー?」



「おー」



「いいよ」



「っしゃー!」





















さっきまで鈍ってるだの何だの気にしていたが、それもピックを握ってマイクの前に立っちまえば高揚感で消え去る





スティックでカウントすれば部屋中を埋め尽くす音の世界


雑音も不協和音も何もない


全ての音を等しく調和させて奏でる










歌と一緒に吐き出す感情と言うには暴力的で、ストレスと言うには無垢な何か


名前の分からないソレに揺さぶられる感覚に脳が酔いしれる





久しく触れていなかったこの空間に、私は自然と気持ちが軽くなった


足で軽くリズムを取ったり、たまに杜希とタイミングを合わせてターンもする


美依と笑美も楽しそうに笑って奏でているのを見て私も笑った










曲が終わり、昂る興奮の熱に意識が浮かされる中、私達に向けられた小さな拍手が聞こえた


振り向けば、マルコがソファから立ち上がって一生懸命拍手してくれていた


その顔から、世辞なんかじゃねぇのが良く分かった




















「ハッ…ハァ…どうだった?」



「凄ぇよい、4人とも!俺ぁ歌でこんなに興奮したのは初めてだ!!」



「フッ…ハハッ」




















マルコの賛辞に照れ臭くも笑って返した


美依は恭しく礼をし、笑美はスティックを上に掲げてはにかみ、杜希はマルコに向かってピースサインを送る










私達4人の、最高のショーだった




















−ブラボー!−










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