短編

□バレンタインSS
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「みんなー」



「お、噂をすれば」



「?何の話してたの?」



「いーや何も。俺たちの紅一点は可愛いなっつー話」



「ふふ、グラディオさんもお上手ですねー」



「(あれ、イグニスが言うのと反応違うくない?)」



「(100%世辞だと思ってんだろ。インソムニアの職場でもそんな感じだったらしいしな)」



「(意外とそこは強かっつーか?)」



「(まあアクアさん美人だから慣れてそうだし……)」



「それで、どこに行ってたんだ」



「あ、うん。じゃーん」



「ああっ、チョコケーキ!!!」



「うわ美味そうだな!」



「ふふ、宿の厨房をお借りして作ってきましたー」



「大変だったんじゃねーか?」



「まあ多少は。でも昨日から仕込んでましたし、こういう日ですのでー。皆さんにどうぞ」



「ありがとうございまーす!やったー!」



「いやマジで美味そう。さっすがプロ」



「あはは、プロは大げさだよー。ただのしがない元ウエイトレスです」



「…………」



「それで、イグニスにはこっち」



「ああ」



「やっぱ別で用意してんだな」



「むしろ無かったら俺たちが困るよ……」



「さすがバカップル」



「今年はカカオ育てられなかったんだけど……」



「アクアさんの中の基準がおかしい」



「いや俺らは黙っとこうぜ」



「開けてもいいか?」



「うんっ」







五年目









ちびノクト、ちびグラディオ、ちびプロンプト、ちびイグニス型チョコ(立体)







「「「器用」」」



「わ、びっくりした」



「こっちのがびっくりしてるわ、何だそれ」



「すごいな、全部作ったのか」



「うん、削ったりくっつけたりなかなか楽しかったよー」



「削ったりくっつけたりでできんのかよあれ……」



「絶対裏技使ってるよね……」



「…………だが、アクアがいない」



「え、あー……それは……うん」



「…………」



「作ったけど、自分の渡すって、恥ずかしいなって……」



「作ったという事は、あるんだな?」



「んんー……???」



「下手くそかよ」



「…………その左手の箱か」



「んーんーんー???」



「嘘が下手くそで癒されるねーアクアさん……」



「見せてみろ」



「わーわー!だ、ダメ!なんか変に可愛くできちゃったから見せたくないー!」



「ほう、余計に気になるな」



「わーダメだってば!助けて!」



「……あ、これ、中にアーモンド入ってる。さすがアクアさん。美味しい」



「結構甘さ抑えてんな。俺でもバカバカ食える」



「うん、これいいな。美味いわ」



「舌鼓打ってらっしゃる!?」



「そら、取った」



「うう……体格差が憎い……」



「どれ、開けるぞ」



パカッ



「…………」



「〜〜〜〜!恥ずかしい……」



「おおーデフォルメアクアさんだ!」



「ちっちぇー。似てるな」



「俺らのよりだいぶ簡略化はされてっけどな」



「……」



「?どしたのイグニス、固まって」



「……可愛いな」



「はい、チョコケーキ部隊撤収〜」



「おー」



「部屋からも撤退するかー」



「変わり身早くないですかね!?」



「アクア」



「!」



「ありがとう」



「!……うんっ」








Happy Valentines.

















(せっかくだから食べてみて?)
(俺はいいとしても、アクアは本当に食べづらいな)
(え、あ、えっと、でも、味も頑張ったから、ね?)
(ふ………ああ、いただこう。では自分を)
(…………美味しい?)
(ああ。とても)
(ふふ、よかったー)



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