短編
□イグニス誕生日SS
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去年 2/5夜 イグニスの誕生日二日前。
「「「頼む/頼みます!」」」
「え、え、え……」
レストランアダマス。夜も深まり、アクアは閉店後の片づけを終えてアダマスを後にしていた。
そこにやってきたのはノクト、プロンプト、そしてグラディオ。
三人は、アクアに向けて頭を下げていた。
「ええっと……お店の前なので、とりあえず、顔を上げてもらって……」
「ん?ああ……」
「それもそうだな」
「思えば何やってんだろうね」
「……こんな遅くに、どうしたんですか?何かありました?」
とりあえず詳細を聞こうとアクアは三人に問いかける。
彼らの答えは――。
「――いつも世話になってっから、イグニスへの誕生日ケーキを作りてえんだよ」
「このワガママ王子が言い出してな。だがまあ……見ての通り俺らに出来るかっつったら無理な話なんだ」
「そこで、プロのアクアさんに協力を仰ごうかと……」
もごもごと三人が言う。
年長のグラディオがいるというが、なんだかその三人の様子が可愛らしく思えて、アクアは小さく笑う。
「ふふ、いいですよー。私で良ければ、お手伝いいたします」
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