短編
□アサシンズ・フェスティバル! 〜2〜
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翌日。
優しい揺れで目が覚めた。
「アクア、起きられるか?」
「んん……おはよう……」
イグニスだ。「おはよう」と挨拶を返しながら、まだ寝ぼけている私の頭を優しく撫でる。
ただ、表情が昨日のそれとは違う、緊急事態であることを如実に告げていた。
「街に帝国が来ているらしい」
「え……?」
「かなり嫌な予感がする……。レガリアの安否を確認したい」
「わ、私も行くっ」
「ああ、準備してくれ」
一気に覚醒した私は急いで起き上がる。
支度をしてロビーに向かうと、グラディオさん、プロンプトくん、そしてシドニーさんがいた。
「どうして帝国がこんなところに……」
「工場に大きな装置を運ぼうとしてるらしくって……多分、その時に王子が来てるのに気づいたんだと思う」
「クッソ……あいつら」
「俺、アクア、グラディオでレガリアの確認に行く。プロンプト、ノクトが起きたらシドニーと一緒に状況説明を」
「うん、わかった。気を付けて」
私たちはホテルを出てレガリアのある方面へと向かった。
「帝国兵……!」
「まだ増えるだろうな……」
「注意して進めよ」
街にはすでに色々な場所で帝国兵が配備されていた。
なるべく目立たないように移動をする。戦闘になれば街が危険だ。
広場を抜け、イーグルダイブの塔がある場所まで来た。そこから展望公園に停めてあるレガリアの様子を確認する。
けど……。
「なんだありゃ……」
「多すぎだよ……」
「近寄れる状態じゃないな。一旦二人に連絡しよう」
レガリアは帝国兵に包囲されていてとても近づける状態じゃない。
移動手段の断絶、それにここに来ると見越しているのもあるだろう。
とにかくここは危険だ。
「ホテルに戻るか」
「はい」
人混みに紛れながらホテルに戻る。
歩いている途中で見渡してみると、帝国兵はどんどんと増えていた。
動きづらくなる。どうにかしないと……。
「あ、お帰り、三人とも」
ホテルまで帰ってくると、シドニーさんだけいた。
二人はホリーさんを助けるために工場へ行ったらしい。
大丈夫かな、と心配しながら部屋で待機していると、ホテルの一階からガシャンという音がした。
不審に思って、確認するためにコッソリ階段の上から覗き込む。
「なっ……」
帝国兵が二体、ホテルの入り口を封鎖していた。
「……本腰入れ始めやがった」
「二人は……ノクトの瞬間移動でなんとかなるだろう。だが、そこからどうする」
「……とりあえず二人が帰って来てからだね」
「だな」
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