短編
□BROTHERHOOD FF15〜Mild first Contact〜
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それは、今から2年前。
「ありがとうございましたー」
インソムニアの商店街に一軒のレストランがあった。名前は「レストラン アダマス」。
その店から若い女性店員――アクアが客の見送りに顔を出す。
笑顔で去って行く若いカップル客に満足感を覚えるが、同時に寂しさがあった。
恋人のイグニスは今何をしているんだろうか、そうふと思ってしまう。
イグニスはしばらく忙しくなると言っていた。しかし、彼の多忙は本当に凄まじいものだということを経験から知っている。
大丈夫かな……無事だといいんだけど……そう心配しながら曇り空を眺めるも、無情に時間が過ぎるだけだった。
「おいおい、恋人でも待ってんのかい」
店の奥から店長がアクアに話しかける。
アクアは慌てて店長に振り返った。
「て、店長……!もうお客さんの前で……!」
「はっはっはっ、常連しかいやしねえし問題ねえよ」
そんな会話を聞いて店にいるアダマスの常連が笑い出す。
「そうそう、それにしてもアクアちゃんも大人になったなあ」
「高校生のバイトから正社員にまでなっちゃってねえ」
客は話しながら懐かしむ。
アクアは少し気恥ずかしさを覚えながら、業務を再開した。
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