短編
□本日、雷雨につき
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「ごめんイグニス〜……」
「まったく……どうしたんだ、傘はなかったのか?」
扉を開けて、ずぶ濡れのアクアを家に上げた。
曰く、朝から買い物のために町を散策していると、突然雨が降ってきたらしい。
そしてちょうど近くの俺の家に避難したわけだ。
朝はまあまあに晴れていたため油断したのだろうか、アクアは傘を持っていなかった。
という話を聞きながら、俺はアクアの頭をタオルで拭いていた。
最初こそ「自分でやるから」など言ってたアクアも、今では俺のされるがままになっている。
猫の様に目を細め、気持ちよさそうな顔をするアクア。……状況が状況でなければ今頃ソファに組み敷いているぞ。
「その服装もどうにかしないとな」
「うう……ほんとごめんねイグニス……」
何故謝る。突然とはいえ、俺は今からアクアの世話を焼けると思うと楽しくて仕方がない(※見えない)
「まずは風呂だな。その服は洗濯機に入れてくれ。着替えは……俺のスウェットでいいか。ああ、タオル等はいつもの戸棚だ。好きに使ってくれ」
テキパキと箪笥から自分の部屋着を取り出して渡す。
サイズは確実に合わないが、その辺は我慢してもらおう。
「はあい、行ってきます〜」
ゆるゆると返事をして風呂場に向かうアクア。
さて、俺はドライヤーの準備でもしよう。
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