短編
□本日、雷雨につき
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窓の外では、鉛色の空が激しい雨を地上に撃っていた。
同じく部屋の窓もさながら銃撃戦のように雨風の攻撃を受けている。
と、ちょうど先ほどぐらいからこのような状況である。
インソムニアの気象庁によると、明日の明朝ぐらいまではこの調子が続くそうだ。
まあ別段外に出る予定も皆無に等しい俺は、特に気にすることなく例の菓子を作っていた(※BROTHERHOOD)
生地が出来上がり、さあもう焼き上げるだけだというところで空が一瞬大きく光った。
刹那、ひどい爆音。
「これは…………」
どこかに落ちただろうな。
少々驚きはしたものの、特に気にすることはない。
オーブンに菓子を入れ、加熱を開始。あとはしばらく待つだけだ。
その間何をしようか、とエプロンを外して考えようとした途端、家のチャイムが鳴った。
誰だ。こんな天気にご苦労なことだ。
そう思って玄関に付けてあるカメラを覗くと、
「アクア……!?」
シャワーを浴びた直後のようなアクアが映っていた。
いつもふわふわとした髪が、彼女の顔に引っ付いている。
俺は慌てて扉まで走った。
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