いつか、私は。
□Chapter 13-3
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「おらよっ……と」
「っと…………ありがとうございます、グラディオさん」
倒れた列車の上から、グラディオさんが引き上げてくれる。
続けてイグニスも引き上げて、私たちは高所に立っていた。
「――進めそうか?」
杖を渡すと、イグニスは開口一番そう言った。
ここから見えるのは、ただただ暗い景色。ノクトくんの姿は、どこにもなかった。
イグニスの言葉に、グラディオさんは眉間の皺を深くさせる。
「シガイ共がうようよしてやがる。突破は現実的じゃねえな」
「っ、じゃあ、私が道を――」
「もうお前もボロボロだろ。早まるんじゃねえ」
「っ……すいません」
「これ以上アクアに無理はさせられない。だが……ノクトだけ先に行かせられない。待ってくれ、何か策を――」
イグニスが額に手を置いて考える体勢に――入るちょうどその時だった。
「やあ、頑張ってるね」
「っ、アーデン、さん……!?」
「……何しに出てきやがった」
グラディオさんが私とイグニスの前に出る。その様子を見てか、アーデンさんは少し鼻で笑った。
「少しも気を許してくれないな」
わざと残念そうに言う。
すると急に顔を上げ、ひとつ指を鳴らした。
その瞬間、小さな光が私たちの周りに現れる。
私以外の――グラディオさんとイグニスの手に、武器が握らされていた。
武器召喚――――。
「これはっ――」
「あれ?もう少しありがたみを感じてほしいんだけど?」
「ふざけんな!……もうお前の手には乗らねえ」
グラディオさんが大剣を手にアーデンさんへ近づく。
アーデンさんはひらひらと両手を挙げて、またわざとらしくおどけた雰囲気を自身に纏わせた。
「今回は大丈夫。俺を信じて。それじゃ、失礼」
「あ――――」
そしてまたあっさりと、アーデンさんは引き上げていく。
私たちはその後姿を、ただ睨みつけることしかできなかった。
「……罠だとしか思えない」
「私も……」
「ああ――だが、これでノクトを追える」
罠だとわかってる。
でも、ノクトくんを――王様を追って進まなきゃいけない。
グラディオさんを先頭に、私たちは列車の上から降りた。
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