いつか、私は。
□Chapter 13-1
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その時だ。
甲高い金属の擦り合わさる音をいななかせながら、列車が徐々に減速を始めていったのである。
「え……?」
「なんだ?」
「何かあったのか?」
「……さあて、また非常事態か?」
いの一番にグラディオさんが前方へと駆けて行く。
私もイグニスの手を引いて、その後に続いた。
確か隣の列車は個室だったはず。
個室の並ぶ方とは逆は、全面窓ガラスで――。
「うあっ!!?」
「ぐっ――!?」
「わっ――!?」
「な、なんだ!?」
急に列車が激しく揺れた。
いや、揺れたなんて生ぬるいものじゃない。窓ガラスは一瞬にしてヒビだらけになり、一瞬の揺れで皆地面に這いつくばっていた。
もちろん私も。
『防衛機能が働いてシガイも寄って来てます』
「……おいおい」
ひび割れた窓ガラスにへばりつきながら、小さなシガイの群れがこちらを見ている。
こんなところで――!
『スイマセン、逃げます。後は――』
そう言い残して放送は途切れた。ビッグスさんとウェッジさん、無事に逃げれていればいいんだけど……。
パリン、と音を立てて窓ガラスの一部が完全に割れた。
そこから窓越しに見ていたシガイが入って来る。
戦うしかない。……でも、この量なら皆の力を合わせてなんとか――!
「しょーがねえ――ん?」
戦闘態勢を形成していると、ノクトくんが自身の右手を見て変な声を上げた。
皆の視線が集まる。
「どうした!?」
グラディオさんの問いに、ノクトくんが青ざめて言った。
「武器が出ねぇ!!」
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