いつか、私は。

□Chapter 12-4
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ノクトの視界にかかっていた霧が晴れるように、目の前には列車の景色が戻ってきた。



車内の吹雪はやんでいる。



列車が止まる前と違うところといえば、凍り付いたアーデン・イズニアくらいだろうか。




身体の機能が全て停止したかのように、アーデンは凍り付けにされていた。





「くそ――!!!」







それは、八つ当たりをするかのように。




ノクトは逆鉾をアーデンへと突き刺した。




バラバラと氷をまき散らせながら、アーデンの姿は消えていった。





言い表せないいらだちや重苦しい疲労をそのままに、ノクトは仲間たちの元に座り込む。




「おい、起きろ……!」






ノクトの呼びかけに、三人が徐々に目を開ける。









「ぐっ……何があった……」


「った……い……」


「ノクト……?」


「ああ……氷神が来てた」


「……氷神様が……?」


「まあ、もう帰ったから平気だ。他んとこ見てきてくれ……」


「おう、行けるか」


「ああ、すまない。大丈夫だ」


「行ってくるね」




グラディオ、イグニス、アクアは少しふらつきながらも車両を移動して行った。






「っ……」




座り込んだまま、ノクトは足元を見る。


首があがらない。疲労困憊か、と思った矢先のことだ。



「……?」



小さな羽のようなものだった。あるいは花びらか。



その青白い羽が何枚か、ふわりふわりと落ちてくる。




ノクトは、驚いて首を持ち上げた。







「っ…………ルーナ……!」






ルナフレーナが、そこにいた。









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