いつか、私は。
□Chapter 12-3
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「中の様子がおかしい。早く来い」
「……わかった」
「行くぞ、アクア、イグニス」
「はい」
「ああ」
グラディオが二人を連れ立って列車へと歩いて行く。ノクトは少し遅れて列車の階段へと足をかけた。
疲労と寒さで若干頭が回らないながらも、彼は列車に戻った。
だが、そこでノクトの視界に黒い布がはためく様が映る。
そう、“あの男”のマントそっくりの。
「っ――おまえ!」
一気に脳が覚醒したノクトは、階段を駆け上がった。
「おい、待て!」
怒り、憎悪、全ての感情をごちゃ混ぜにしたような声色でノクトは叫んだ。
だがそこにヤツはいない。
あの、アーデン・イズニアという男は。
「あのやろ――」
車両の扉が開く。
だが、グラディオの言うように妙だった。
白く、濃い冷気が車内に充満していたのである。
「なんだ――?」
不審に思いつつも、ノクトはすたすたと小走りでアーデンが向かった方面へと進む。
だが、一つ目の車両をパスし、次の車両に差し掛かった時だ。
「ぐ、う……!!?」
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