いつか、私は。
□Chapter 10-3
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「うおお!?」
「あああ、クチ!?いや――カオ!?」
「なななな、なにこれ!?なにこれ!?」
「!?何が出てきた!」
「やべぇヤツ!!」
もうてんやわんや状態に。
というか――なんだか見た目がかなり――その――……。
「ひいぃぃ……」
ねっとりしてる……!!!
率直に言って、かなり不衛生な見た目をしていた。
「なんだこれ、ヨダレかよ!!」
ベトベトのネトネトのヌルヌル。
ああもうダメです。見た目がまずダメです。私職業柄タコとかはいけるけれどあんなに大きいのは――。
あと何より……!
「臭え!!」
グラディオさんが叫んだ。
臭い息が精神的に来ます……。それにハンマーみたいに殴る感じで結構な威力で叩きつけられるから、十分に体力も持っていかれる。
「てやぁ!!」
でも何もしないのもいけない。
私はとにかくこの臭い生き物を蹴り続けた。そのたびに接近しなきゃいけないけれど、致し方ない。
それにここまで攻撃をしているんだから、もうそろそろ――!
「……え」
モンスターはみるみるうちに元気を取り戻していく。
まさか、今までの攻撃も――!
「あれ!?」
「効いてねえぞ!」
「どうすんの!」
「なんも思いつかねーな……!」
「いや、何かあるはずだ……!」
とりあえず体制を立て直さなければ、とみんなでモンスターから離れていく。
とにかく距離を取って、相手の隙を見つけなきゃ……。
「――――――!!!」
離れた場所からでも感じる、強い吸い込み。
きっと今から臭い息を吐く準備なのだろう――ここで倒れたらもうおしまいだ。
でも、どう攻略すれば……!
「っ……!!」
すると、隣のイグニスがハッとした表情を見せた。
彼はそのままおもむろに、懐からノクトくんが作っている魔法、ファイガを取り出した。
「ノクト!ひとつ、試させてくれ」
イグニスはそう言ってモンスターにファイガを投げる。
息を吸い込んでいるモンスターはそのままファイガをも吸い込んだ。
大きな爆音が、洞窟内に響いてくる。キーンと耳に来るけれど、モンスターはぐったりとしていた。
「効いたか?」
「効いてるっぽい!」
「やるじゃねえか」
「ありがとう、イグニス!」
「……これならいけるか」
少し嬉しそうにイグニスが微笑む。
さて――反撃開始。
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